空港のもう一つの出発口
物流を支える貨物カウンター

四国航空サービス事業部 貨物グループ 瀧本良美さん/梶谷幸子さん

column

2025.08.21

空港の貨物カウンターには、今日もさまざまな「旅立つ荷物」が持ち込まれる。接客のプロとして旅客業務を経験した2人が、今は“ものが言えないお客様”を預かる立場として、空の物流を支えている。

「さまざまな荷物が全国へ旅立っていきます」と話すのは、先に貨物グループへ異動した瀧本さん。接客業が好きで、より質の高い対応を求めて空港業界に飛び込んだ。

梶谷さんは元教員で、「憧れの航空業界に挑戦してみたい」とパート職からスタート。「最初は国際線の旅客業務でしたが、“貨物部門で女性が頑張ってるから一緒にやらないか”と声をかけていただいて」。現在は瀧本さんの指導を受けながら業務に携わっている。

運送会社からの依頼に加え、個人が直接カウンターに荷物を持ち込むケースも多く、内容は多岐にわたる。特に鮮度が命の生鮮食品や、子犬を届けたいという依頼など、スピードと安全性が求められる荷物には、航空貨物の強みが発揮される。

荷物の受付後、重さや大きさを確認し、出発便ごとに適切に振り分ける。旅客の手荷物が優先されるため、貨物に割けるスペースは限られており、便によっては搭載できないことも。さらに悪天候などで欠航があれば、翌便に再調整する。

「荷物はものが言えないお客様」と梶谷さん。預かった荷物の奥には必ず送り手の思いや事情があり、それを丁寧に、正確に扱う姿勢が求められる。また、「ほんの1kgの違いでも、飛行機にとっては重大な意味を持ちます」と瀧本さん。わずかな差が航空機の「ウェイト&バランス」に大きく影響するため、搭載責任者やバランス管理部署との綿密な連携が重要になる。

2人は、「もっと多くの人にこのサービスを知ってほしい」と口をそろえる。空港を介した貨物輸送は、実は誰でも使える身近なサービス。「鍵や財布など、緊急を要する忘れ物も、飛行機なら当日中に届けられる。知っていれば助かった人、きっと多いと思うんです」。仕事は年中無休。旅する荷物たちを、今日も瀧本さんと梶谷さんが、心を込めて送り出している。

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