世にないものを生み出す発想と出会い
次世代が「面白がれる」地域をつくろう

瀬戸内サニー 代表取締役社長 大崎 龍史さん/森清掃社 専務取締役 山添 勢さん

Interview

2024.11.21

(写真左)瀬戸内サニー株式会社 代表取締役社長 大崎龍史さん (写真右)有限会社森清掃社 専務取締役 山添勢さん

(写真左)瀬戸内サニー株式会社 代表取締役社長 大崎龍史さん
(写真右)有限会社森清掃社 専務取締役 山添勢さん

学校の授業だけじゃない“新しい時代の学び”のために、中高生をはじめ若い世代に向けてまわりの大人たちは何ができるのか――。その答えを探しながら様々な取り組みを行う教育現場、地元企業などのキーパーソンに、瀬戸内サニー代表・大崎龍史さん(YouTuber)がお話を伺うシリーズ。今回は「イノベーション」についての対談です。

キャリアを見つめ直して選んだ自由 業界知識ゼロからの新たな挑戦

【山添(以下、山)】私は東京で生まれて母の実家・徳島で育ち、一人っ子のさみしさから周囲に人を集める・巻き込む力を身につけて、学生時代はいわゆる「学校の人気者」タイプでした。大阪で就職して法人営業のキャリアを築きましたが、30歳を前に人生を見つめ直していたところへ「仕事を継いでくれないか」と義父から声が掛かって。教育業界への転職と迷って、勤め人よりも「自分で考えて好きなことができる環境」を選びました。
【大崎(以下、大)】私と山添さんは2歳違いの同世代、私もキャリアを迷って「一番ぶっ飛んだことをしよう」と今の道を選んだから、すごくわかります。継いでから葛藤はありませんでしたか?

【山】業界のことを何も知らなくて、まず浄化槽に関する文献を徹底的に読みました。浄化槽を使っているのは総人口の9%程度と目立たないものの、下水道に比べて災害復旧に強く、人口が減っても排水インフラ維持における省力化が可能で、今後もシェア増加が見込まれます。しかし浄化槽を管理する国家資格「浄化槽管理士」は、慢性的な人手不足と高齢化から今後15年で半数以下になる予想です。

地方の排水インフラ崩壊を食い止めるため、私にできる挑戦の一つが、今年3月に「第4回アトツギ甲子園」で優秀賞をいただいた新しいセンサーの開発。浄化槽は浄化槽管理士のメンテナンスが伴ってこそ真価を発揮しますが、私自身が管理士の資格を取った時、「センサーがあれば人手がなくても管理しやすいんじゃないか?」と思ったんです。
【大】大阪大学発のスタートアップと連携したプロジェクトですね。ゼロからの開発ですか?

【山】浄化槽の中は「汚水中の汚物を沈殿分離」「分離後の水をバクテリア分解」「塩素消毒」「放流」と、いくつかの工程に分かれます。バクテリアの活動に適した環境や処理後の水質に関するセンサーは存在しますが、「現在浄化槽内にどのくらい汚物があるか」を測定するものは実用化が難しいとされてきました。我々はそこに挑み、今年2月に国内特許を出願。10年スパンの予定が4年くらいで完成したのは、円滑にコミュニケーションをとってくれたエンジニアのおかげです。理系のエキスパートの視点に触れたのも刺激的でした。
【大】そういう人たちのイノベーションこそ面白いし、経営者にとって出会いは重要ですよね。

安全な水辺と水遊びの面白さを 世界中の子どもたちに届ける!

【大】経営者として今後はどう頑張っていきたいですか?

【山】この会社を通じて「水辺の原風景を守り次世代に繋ぐ」という私の責任を全うしたい。浄化槽の管理が不十分だと水場が富栄養化して生態系が変わってしまいます。私は吉野川や穴吹川で遊んだ記憶から「水遊びはこの世で一番面白い」と思っていて、特に自然の中で経験したことはすべての学問と地続きだというルソーの考えに共感しています。子育てをするようになって、その思いはさらに深まりました。安全な水辺と、水遊びの楽しさを世界中の子どもたちに届けたい。

その環境を守るのが浄化槽です。シンプルかつ安価なセンサーによる常時監視で、浄化槽を安全に運用しやすくしたいんですが、現状は「管理士による定期的な点検」を定めた法律があるため、国内ではデジタル化の推進と法規改正にフィットした事業を展開していきます。もともと途上国を視野に安価なセンサーを目指しましたから、海外市場にも可能性を感じています。

【山】山添さんの取り組みは社会的意義とモラルレベルが非常に高く、今の教育に欠けている「WHY(なぜ)」が強く、しかも地域に根差したかっこいい事業ですよね。琴平の老舗企業が大阪のスタートアップとつながってイノベーションを生む、そういう「共業」はこれからますますトレンドになっていくのではないでしょうか。

【山】魅力的な仕事と魅力的な教育は、地域活性化に不可欠だと思います。私も私なりに「地方でも世界と戦える」企業をつくりたいという思いがあるし、教育を通じて若い世代に訴える大崎さんの背中を見て変わっていく世代もきっといるはず。

【大】私は今の子どもたちを「頑張るのはダサい」じゃなくて「いいじゃん!」と応援するような、イノベーティブなことにどんどん挑戦できる教育と環境が重要だと感じていて、そのきっかけにしたいのが来年2月開催の「サニピッチ2025(※)」です。当日ご登壇いただく山添さんには、ぜひその熱い胸の内を若い世代に向けてダイレクトに語っていただきたいと思っています。

【山】これからの国を担うのは、まだ価値観が柔軟な若い世代ですからね。私たちだけでなく、次世代まで面白がれる環境をつくっていきましょう。

※「サニピッチ2025」
2025年2月2日(日)、学生を中心とする若き挑戦者たちに向けた、香川県発ネスクトイノベーターとアトツギのスタートアップ交流&ピッチイベントを開催

瀬戸内サニー株式会社

住所
高松市鍛冶屋町7番地1 乃一ビル4F
連絡先
info@setouchi-sunny.com
設立
2018年1月11日
事業内容
インターネットテレビ事業、デジタルマーケティング運用業務
地図
URL
http://setouchi-sunny.com/
確認日
2018.05.17

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ