香川大起業部発の「小さな力」を
未来のイノベーターを育むきっかけに

瀬戸内サニー 代表取締役社長 大崎 龍史さん/合同会社Biryoku 代表 藤澤 暉さん

Interview

2024.12.05

(写真左)瀬戸内サニー株式会社 代表取締役社長 大崎 龍史さん (写真右)合同会社Biryoku 代表 藤澤 暉さん

(写真左)瀬戸内サニー株式会社 代表取締役社長 大崎 龍史さん
(写真右)合同会社Biryoku 代表 藤澤 暉さん

学校の授業だけじゃない“新しい時代の学び”のために、中高生をはじめ若い世代に向けてまわりの大人たちは何ができるのか――。その答えを探しながら様々な取り組みを行う教育現場、地元企業などのキーパーソンに、瀬戸内サニー代表・大崎龍史さん(YouTuber)がお話を伺うシリーズ。今回は「キャリアを切り拓く経験と行動」についての対談です。

「地域留学」で視野を広げて学生起業家に

【藤澤(以下、藤)】小学4年生から教員を目指し、香川大学教育学部に進学。コロナ禍が直撃して正直つまらない大学生活に何か面白いことを見出そうとしていた2020年5月、全国の大学生を1万人集めるイベントに応募して、たまたま1年生の身で香川県代表を務めることになりました。他県代表は4年生中心で、みんなバイタリティにあふれて面白い人ばかり。彼らに共通していたのが「休学してインターン・留学・起業している」ことで、私も大学生のうちに絶対全部やろうと決意しました。

【大崎(以下、大)】大先輩たちの中で鍛えられたわけですね。起業意識はそこから芽生えたんですか?

【藤】高校3年の時に地域活性や事業継承に関するワークショップに参加して、経営者になる道もあるんだと思ってはいました。ちょうど香川大学の推薦入試合格発表3日前に起業部が立ち上がり、見学に来た勢いで合格前なのに「入部させてください!」と申し出て、実際に1年から入部した初期メンバーです。

【大】藤澤さんが大学で立ち上げた学食のデリバリーサービス「KADAEats」は、キャンパスベンチャーグランプリに出場していたのを覚えています。

【藤】コロナ禍で学食の利用機会が減り、サブスクの一種である生協のミールカードを使わないのがもったいないという発想から生まれた事業です。2年次はそこにフルコミットしたのち、年度の終わりから1年間休学。県外を知りたい気持ちが強いだけで特にやりたいことは決めておらず、瀬戸内国際芸術祭期間中の海上タクシー会社と、被災地の学習支援を行う岩手県のNPO法人で、半年ずつインターンを経験。前者はフルリモートで対応しながら全国を旅し、後者は公立学校をNPOが支援するユニークな官民連携に触れることができました。私の人生の軸は「教育」なので、学校の先生が楽になる事業につながる仕組みに興味をひかれたんです。

【大】大学2年生にして新卒社会人くらいの経験を積まれたわけですね。大学生にとって海外留学やNPOで働くという選択肢は一般的ですが、藤澤さんのような「地域留学」はユニークな視点だと思います。

香川の就職・起業に新たな文化を育む

【藤】インターンを終えて復学したら、周囲はみんな就活生になっていて「資格も留学・インターン経験もなくてエントリーシートが通らない」と暗い顔をしてるんですよ。インターンシップなら私の小さな力でも役立てることがありそうだと立ち上げたのが「合同会社Biryoku」です。

【大】経営理念は何ですか?

【藤】「社会をポジティブに変えるBiryokuなきっかけは我々がつくる」。すごいイノベーションを起こすほどの力はなくても、そういうイノベーターが生まれるきっかけにはなれるかもしれません。未来の偉人が「あの時、香川大の起業部に関わってたんだよ」と振り返ってくれたら面白いなと。

【大】素敵すぎる! 今のアントレプレナー教育はいきなりハイレベルなイノベーターを求めがちですが、その前段階となる「メーカー」を育むのが重要で、そこから課題解決力を身に付けた起業家が育っていくものだと思うんです。インターンシップを「ハードルが高そう」と見る傾向がある香川の学生たちにとって、最初の一歩のデザインはすごく大事ですよね。

【藤】まさにインターンシップの意識が薄い香川に文化をつくるところからのスタートで、企業と学生の接点をつくる交流会事業を始めました。現在はインターンシップの設計・運営事業に発展しています。Biryokuの活動を通じて就職が決まった起業部員もいて、一定のきっかけになっていることを感じます。

私の大きな目標は「生まれた場所・環境由来のギャップ」をなくしていくことです。選択肢をわかっていて選ぶのはいいけれど、マイナス面の運に左右されて選択肢を知らずに終わるのはもったいない。

【大】香川に留まらず世界を見すえた教育格差をなくす取り組みですね。そのための啓蒙も必要だと思いますが、起業部としてどんな活動をしていますか?

【藤】今月から月1回ピッチ大会を企画中です。最初は身近なメンバーで始めて、今の1年生が進級したら外へ拡大していこうかなと。起業部の目標は「部員数150人」、これは全学生の3%に当たる数字で、3%の変化で歴史が動くといわれます。部員と企業を結びつけるインターンシップ支援で、「身近にインターンシップ経験者がいるのが当たり前」という文化を育みたいと思っています。

【大】藤澤さんのように見識を広げて起業のきっかけを掴むこともあるという意味では、休学も一つの選択肢ですね。自ら積極的に動いて経験したことは、人間として大きく変わるチャンスであり、その行動がまた次の行動を生みます。大人も巻き込んで、自分らしいプロジェクトを進め、自らキャリアを切り開く若者が増える。来年2月に開催される「サニピッチ」も新しい若者と大人の接点になればと思っています。ぜひ香川大学にも起業家精神を持つ多くの学生さんが生まれるきっかけになれば嬉しいです。

瀬戸内サニー株式会社

住所
高松市鍛冶屋町7番地1 乃一ビル4F
連絡先
info@setouchi-sunny.com
設立
2018年1月11日
事業内容
インターネットテレビ事業、デジタルマーケティング運用業務
地図
URL
http://setouchi-sunny.com/
確認日
2018.05.17

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