
大規模施設の開館と大きなイベントが重なる年は珍しく、利用し参加する多くの方々に満足いただける運営などが求められるのは勿論だが、それ以上に大切なのは、それによって残される遺産、レガシーを地域社会の中にどのように繋ぎ、未来を信じる営みに結びつけ受け継いでいくのかという点だと思う。そして、レガシーは人なのだと私は思う。瀬戸芸も回を重ねる中で、ボランティア、移住など人の繋がりが重層的になってきていると感じる。このことが地域に化学反応を起こし続けていると感じる。また、平成3年に開催された前回の香川での総文祭では、有名なサヌカイト奏者がこの時初めてサヌカイトに触れたとお聞きしたし、この時の感動を胸に教職に就かれた方もおられるとのことだ。スポーツでも、東四国国体に出場した選手などが、指導者として活躍し続けていることは大きい。
万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を見聞し、瀬戸芸の作品群と島々と海の景観を体感し、県立アリーナでかつてないイベントを観覧し、また、そこで演じることもできる。高校生の「青き春の集大成」に心を寄せて見守ることができる。なんと豊かな年なのだろうかと思う。その豊かさと重みを感じるのは随分と先かもしれないが、これまでの節目で人がレガシーとなって、受け繋いできた未来を信じる営みは尊い。大規模イベントなどが続く2025年の香川。新たなレガシーが生まれ、育ち、地域社会での様々な交流の中で、また再び、未来に生きる希望に満ちた実践の歩みが始まることを心から期待したい。
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
- 写真
おすすめ記事
-
2024.10.03
「暑かった夏に思い感じたこと」
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
-
2024.06.06
成長を促す営み
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
-
2024.02.01
オリンピックイヤー「スポーツの持つ教育力」
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
-
2023.10.05
感じること、そして共感し、ともに成長する
香川県教育委員会 教育長 淀谷 圭三郎
-
2024.12.05
若者はなぜ都会へ行くのか
日本銀行高松支店 支店長 大塚 竜
-
2023.04.20
「見えるぞ。私にも敵が見える」
四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
-
2023.02.16
ジオツーリズムによる地域活性化
香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一
-
2022.10.20
「ジオツーリズム・エキスパート養成講座」ジオツアー発表会
香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一
-
2021.12.16
ジオパーク×地方再生シンポジウム
香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一
-
2021.11.18
親不知(おやしらず)・子不知(こしらず)
四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
-
2020.08.20
命を知るものは天を怨みず
四国なんでも88箇所巡礼推進協議会会長 佐藤 哲也
最新紙面情報
Vol.402 2025年03月20日号
楽しみながら自分を表現する
かがわ総文祭生徒実行委員会
未来の“きざし”を体感するイベント 「サニピッチ」開催レポート
サニピッチ2025
花あかり
Photo:T.Nakamura