ジオパーク×地方再生シンポジウム

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一

column

2021.12.16

12月3日に、讃岐ジオパーク構想推進準備委員会などの共催で、香川大学「ジオパーク×地方再生シンポジウム」を開催しました。これは、昨年から実施している「ジオパーク×防災シンポジウム」などに続くもので、今回は、ジオパークのコンセプトを地域の持続可能な発展にどのように活用したらいいか、について話し合いました。

ユネスコが推進するジオパークは、価値ある地球活動の遺産を保全する取り組みで、大地を意味する「ジオ」と、公園を意味する「パーク」を合わせた言葉です。土台となっている大地(ジオ)と生態系(エコ)と人の活動(ヒト)とのつながりを理解する。その上で、地域にある地球活動の遺産を保全しながら、ジオツーリズムや教育などに活用し、地域の持続可能な発展を目指します。

ジオツーリズムは,土地のジオストーリー(地球科学に基づく土地の物語)をブランド化します。地域の様々な関係者が関わりながら、住民の郷土愛を育みます。大地の成り立ちから地域を深く知ることで、持続可能な地方分散型社会への転換のヒントを与えてくれます。

シンポジウムの基調講演では、神戸大学名誉教授・ジオリブ研究所長の巽好幸先生に「瀬戸内ジオストーリー:食と石の文化を生んだ地球大変動」と題して、変動帯としての日本列島の自然、文化、瀬戸内海の食文化、石の文化、瀬戸内海、讃岐が誇る地質遺産とその意義について講演いただきました。パネルディスカッションでは、地域のジオ資源を活用した持続可能な観光等について意見交換しました。その中で、地域のブランディングにはコンテンツではなく「コンテクスト」=ストーリーが重要であることを学びました。

讃岐うどん文化と瀬戸内海の海の幸は、①瀬戸内海の土台と砂場を造った1億年前の花崗岩マグマの活動、②瀬戸内気候区とおむすび山等を造った1400万年前の火山活動、③讃岐山脈、讃岐平野の扇状地と瀬戸内海を造り、300万前から活動した中央構造線のおかげです。これからも瀬戸内と讃岐のジオストーリーを発信し続けたいと思います。

長谷川 修一 | はせがわ しゅういち

1955年 島根県生まれ
1974年 愛光高校 卒業
1978年 東京大学理学部地学科 卒業
1980年 東京大学大学院理学系研究科修士課程
    (地質学専門課程) 修了
    四国電力 入社
2000年 四国電力 退職
    香川大学工学部助教授
2002年 香川大学工学部教授
2017年 香川大学工学部長
2018年 香川大学創造工学部長

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