医療崩壊、社会崩壊を回避するには

香川大学創造工学部教授 長谷川修一

column

2020.05.21

新型コロナウイルス・パンデミックによって、日本だけでなく世界中で危機的状況が拡大している。

香川大学では6月17日まで原則遠隔授業になり、特別な事情が認められない限り研究室の学生の対面指導ができない。生活費等を補てんしていた学生のアルバイトがなくなり、さらには就職活動の中断を余儀なくされている。学生に直接会って、相談にのることもできなければ、学生と共に現地調査に出かけて、同じ釜の飯を食うこともできない。

経済活動の自粛によって、経営者だけでなく、若者や子育てしながら働く世代の生活は崩壊の危機にある。しかるに、若者は感染しても重症化しにくいといわれているので、新型コロナ感染症の脅威に無神経だと非難されることが多い。緊急事態宣言によって仕事を奪われた若者としては、なぜ自分たちばかりが、という思いを蓄積しているのではないだろうか。

企業活動と働く世代の経済活動が停止すると、税収が著しく減るため、年金だけでなく、国家財政の破綻につながるかもしれない。このまま世界が鎖国状態になり、物流が止まると、世界経済が崩壊するだけでなく、日本に化石燃料や食料が届かなくなり、電力不足、食料不足が深刻化する。

世界中でこのような状態になれば、国民の不満が爆発し、最悪のシナリオまで浮かんでしまう。医療崩壊、社会崩壊を回避するには、早急に薬を承認して軽症患者に投与し、重症化を防いでほしい。

自宅に籠っていると、どうしても思考がネガティブになる。心身の健康を保つためには、気分転換するのが一番だ。そこでお勧めは、長谷川研究室のホームページにある「讃岐ジオサイト探訪」。県内の地形・地質の名所(ジオサイト)30カ所が、地図と写真を使って解説されているので、見て出かけて気分を味わっていただければと思う。(2020年5月15日執筆)

長谷川 修一 | はせがわ しゅういち

1955年 島根県生まれ
1974年 愛光高校 卒業
1978年 東京大学理学部地学科 卒業
1980年 東京大学大学院理学系研究科修士課程
    (地質学専門課程) 修了
    四国電力 入社
2000年 四国電力 退職
    香川大学工学部助教授
2002年 香川大学工学部教授
2017年 香川大学工学部長
2018年 香川大学創造工学部長

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