高松と小豆島で「ウラタモリ」

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一

column

2022.03.17

NHKの番組、ブラタモリ「高松」(2月26日)と「小豆島」(3月12日)が放送されました。「さぬきうどん」と「こんぴらさん」から5年、待ちに待ったタモリさんが香川県に来てくれたのです。今回も、案内人として高松城下と小豆島のすごいところを、大地の成り立ちから解き明かすお手伝いをさせていただきました。今回はその裏話「ウラタモリ」です。

高松城下のまち歩きを終えて、シンボルタワーから高松城下を一望し、タモリさんは高松城下のまとめに入りかけました。でもロケはここで終わりではありませんでした。屋島が残っていたのです。屋島と高松平野のおむすび山をみながら、「円錐形の山は、メサが侵食されたビュートではないと思うのだが?」と鋭い質問をされました(注)。まさにそのとおり、鉛筆の芯があるのがおむすび山と説明したら、話がはずみました。タモリさんは、地形を観察して、どのようにしてできたのか、いつも考えているのです。タモリさんのすごさは超一流の観察力にあります。

屋島では、メサの地形と地質のロケをしたのですが、尺の関係ですべてカット。タモリさんを屋島にお誘いしながら、出る幕がありませんでした。放送後、多くの方から屋島は付け足しのようだとの感想をいただきました。実は、屋島山上で高松城下を眼下に「高松でブラタモリ」の第一声を提案したのですが、屋島山上から高松城がよく見えなかったのです(残念!)。とはいえ、災害の跡地を活用した高松城下と栗林公園のデザインについて、「お見事」と喜んでいただけました。

小豆島では、ネタが豊富にありすぎて、何に絞るか大変でした。ブラタモリは通常の観光と違って、大地の成り立ち(ジオ)に焦点を当てます。そこで、1400万年前の瀬戸内火山活動をアピールすることを提案しました。ロケの最後は、三都(みと)半島の権現崎にある観光客が来ない海岸です。花崗岩を貫く黒い安山岩を見たタモリさんは一言「奇跡の島だ」。なぜ奇跡の島なのか、番組を見た方にはお分かりいただけたでしょうか。

メサ:屋島ように、山頂の平坦面が崖に囲まれた台地状の地形。山頂が硬い水平な地層からできている
ビュート:メサが侵食されてできた切り株のような地形

長谷川 修一 | はせがわ しゅういち

1955年 島根県生まれ
1974年 愛光高校 卒業
1978年 東京大学理学部地学科 卒業
1980年 東京大学大学院理学系研究科修士課程
    (地質学専門課程) 修了
    四国電力 入社
2000年 四国電力 退職
    香川大学工学部助教授
2002年 香川大学工学部教授
2017年 香川大学工学部長
2018年 香川大学創造工学部長

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