東かがわ親子ジオクルーズ

香川大学四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 長谷川修一

column

2021.09.02

絹島の柱状節理

絹島の柱状節理

2021年7月22日の海の日に、公益財団法人 福武財団の助成を受け、讃岐ジオパーク構想推進準備委員が「東かがわ親子ジオクルーズ」を開催しました。ジオクルーズのお題は、「なぜ陸から見えない崖が国の天然記念物になったのか?」。当日は、東かがわ市教育委員会を通じて募集した市内の小学生の親子7組14人が、新型コロナ感染対策を行い、東かがわ観光船協会のプレジャーボート3隻に分乗して、引田漁港から馬篠漁港を往復しました。

見学の目玉は、①引田城跡と引田灯台の直下の崖に現れた引田不整合(未指定)、②白鳥の鹿浦越のランプロファイヤ岩脈(1942年指定)、馬篠漁港沖にある③絹島及び丸亀島の柱状節理(1940年指定)。

①引田不整合では、褐色をした板状の地層(和泉層群)の下に花崗岩の白い岩盤が露出しています。ここには約1億年前に地下深部で冷え固まったマグマが、地表に現れたから起こった地殻変動が凝縮されています。

②鹿浦越のランプロファイヤ岩脈では、花崗岩のマグマ(白)が地下深部で冷え固まりかけた時に玄武岩質マグマ(黒)が貫入し、見事な縞模様をつくっています。

③絹島と丸亀島の柱状節理は、1400万年前の瀬戸内火山活動によってできたマグマが地表付近の花崗岩中で冷え固まるときに鉛筆を横に重ねたようになった天然のアートです。

これらの名所は、陸からは見えませんが、船を使えば間近に見ることができます。まさに「百聞は一見に如かず」。子どもたちからは、「東かがわ市にたくさん天然記念物があるのにびっくりした」という感動を、同乗した保護者からも、「東かがわの良い所を次世代の人も知って欲しい」等の感想をいただきました。

約80年前に②、③は天然記念物に指定されましたが、①は未だに天然記念物には指定されていません。なぜ陸から見えない崖が天然記念物になったのか、なぜ忘れられているのか、夏休みの自由研究で取り組んでもらえればと期待しています。また地域の価値を見出し、活かすのは人間なのだと、気づいてもらえたらと願っています。

長谷川 修一 | はせがわ しゅういち

1955年 島根県生まれ
1974年 愛光高校 卒業
1978年 東京大学理学部地学科 卒業
1980年 東京大学大学院理学系研究科修士課程
    (地質学専門課程) 修了
    四国電力 入社
2000年 四国電力 退職
    香川大学工学部助教授
2002年 香川大学工学部教授
2017年 香川大学工学部長
2018年 香川大学創造工学部長

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