「高橋さんの防災は、この地で育まれたんですね」

防災士 高橋 真里

column

2022.08.18

タイトルは、香川大学・長谷川先生の言葉。私が生まれ育ったのは、海と山に囲まれた自然豊かなところです。前は1mで海、後ろは50㎝で山。山ではハンモックを張ってお昼寝をしたり、シダを一面に敷き詰めてままごとを。海では釣りや潮干狩り。おたふく風邪で欠席した日も、釣りをしていました。季節の移り変わり、天候の変化、潮の満ち引き、すべてが生活の中にありました。まさに、自然は友達でした。

干潮時には普通に歩いて通れる海岸も、満潮時には崖を登り、崖を降りる。そうしなければ、打ち寄せる波の中を歩かなければいけません。干潟は、石がゴロゴロしている所・砂浜・干潟歩き方がそれぞれ違っていて、特に干潟は気を付けないと足を取られてしまうこと(何度も泥にはまって、長靴だけ脱げてしまったことが…)。

山遊びでは、枯れ葉が覆う斜面を歩けば滑るし、木々の小枝や背丈の高い草は歩く時に顔を傷つけることがあります。斜面が窪んでいるところは、雨が降ると小さな流れができます。

台風は風の向きによっては、波が波止を超えることがある。雨が降り続けると、山側の部屋から離れたところで寝る。大雨が降ると、川から草木が流れてきて小さな島ができます。

枯れ葉や小枝を集めてきて焚火をする方法。その焚火で捕まえた魚を焼くにはどうすればうまく火を使えるか…。

足元は、場所によって履く靴が異なります。そもそも濡れることが目的の場合は、ウォーターシューズだし、濡れつつも作業をするときは長靴。足場が悪い時は登山靴等。植物の生え方だって先生です。日陰でジメジメしたところを好む植物が生えているところは、水分が多く雨が降ると水が出やすいところです。

私は、遊びの中で覚えた感覚ですが、街中で育った夫は持っていない感覚です。あの頃は、ただただ楽しく遊んでいましたが、生活の中で生きる力を身に着けていたんだと気づきました。そして、長谷川先生の言葉でそれが災害対策に繋がっていることを知りました。自然は災害として私たちの生活に影響を及ぼします。しかし、普段は優しく豊かな先生です。風の音・空気の香り・山の緑に雲の流れ、特別に学習するなんて考えず、生活の中で讃岐の自然を五感で感じて楽しんでみてください。

高橋 真里 | たかはし まり

1975年 さぬき市生まれ
1993年 津田高校 卒業
1997年 徳島文理大学音楽学部 卒業
2004年 台風16号高潮水害 高松水害ボランティアセンター運営
2006年 防災士養成講座受講
2011年 東日本大震災支援の日本赤十字社本社ボランティアセンター運営に関わる
2016年 香川大学学生を引率し、熊本地震ボランティア活動に参加
2017年 香川県多度津町水害 災害ボランティアセンター運営支援
2018年 西予市災害救援ボランティアセンター運営支援
    西予市・宇和島市支援活動
2019年 台風19号被災地支援(長野県長野市)
写真
高橋 真里 | たかはし まり

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