ブラハセ×ジオ・アート×讃岐ジオパーク構想

香川大学創造工学部教授 長谷川修一

column

2020.02.20

香川大学創造工学部は、次世代型理工系人材の養成を目指して2018年4月にスタートしました。他の大学にない教育目標は、デザイン思考能力とリスクマネジメント能力の育成です。そこで、デザイン思考能力に秀でた人材の養成を担う造形・メディアデザインコースと、リスクマネジメント能力に秀でた人材の養成を担う防災・危機管理コースを新設しました。いずれも地域に出かけるフィールドワークが重要です。

私が担当する防災・危機管理コースでは、学生がなぞ解きをしながら防災について学ぶ「防災まち歩き(通称ブラハセ)」に力を入れています。18年の豪雨災害で大きな被害を受けた倉敷市真備町を訪れた際は、学生が小学生と保護者を案内し、土地の成り立ちと災害の歴史の関係を考えてもらう活動をしました。参加者からは「地域の見方が変わった」という声がありました。

 柴田悠基講師らが担当する造形・メディアデザインコースでは、アートの視点から地域振興を考える「ジオ・アート」の活動をしています。

このブラハセとジオ・アートを、「讃岐ジオパーク構想」の活動と連携させる初の試みとして、2月16日に「ブラハセ×ジオ・アート×讃岐ジオパーク構想連携推進シンポジウム」を開催しました。

「讃岐ジオパーク構想」は、サヌカイト(讃岐岩)の世界的な価値を基に、香川県全域がユネスコ世界ジオパークに認定されることを目指しています。大地の成り立ちから讃岐と備讃瀬戸の世界的価値に目を向け、郷土に誇りが持てる人材を育成したいと考えています。これらの連携を進めるのは、少子高齢化で地方の衰退が指摘される中、若い世代に地域の価値を共有してもらい、東京圏に進学しても地元に帰って地域で働く人を増やしたい、という思いがあるからです。

ジオ(大地)に根差してレジリエンスかつ持続可能な讃岐をいかにデザインし、かたちにするか。香川県の未来をかけた挑戦が始まりました。

長谷川 修一 | はせがわ しゅういち

1955年 島根県生まれ
1974年 愛光高校 卒業
1978年 東京大学理学部地学科 卒業
1980年 東京大学大学院理学系研究科修士課程
    (地質学専門課程) 修了
    四国電力 入社
2000年 四国電力 退職
    香川大学工学部助教授
2002年 香川大学工学部教授
2017年 香川大学工学部長
2018年 香川大学創造工学部長

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