冬至の「しっぽく」

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸

column

2018.12.20

一年で最も昼が短い冬至。冬至にはカボチャを食べることは全国的にも有名ですが、香川県にはしっぽくそばを食べるという文化がありました。

讃岐の冬場を代表する食文化といえば、しっぽくうどん・そばではないでしょうか。県内の多くのうどん店では、季節限定メニューとしてしっぽくうどん・そばが食べられるようになり、冬の深まりを実感することができます。

実は、しっぽくうどん(そばも含む)は京都や信州などにも存在し、いずれも、うどんの上にシイタケ、セリなどいろいろな具材を「載せた」料理です。落語「ときそば」にも「しっぽくそば」が出てきます。ちくわが載せられていることから、同じ系統の料理であると考えられます。

一方、香川県のしっぽくうどんはこれらとは全く様子が異なり、いろいろな野菜を煮込んだ出汁をうどんにかけていただく料理となります。県外の方にとっては、名前を見ただけではその内容が全く想像できませんが、全国的に通用する表現をするならば、「五目うどん」「けんちんうどん」「煮込み野菜うどん」というところでしょうか。

野菜をたっぷり使っており、また、サトイモが具材に入っていて出汁にとろみがあるため、体が温まるだけでなく、早食いにはなりにくいという特徴も併せ持つ、実に有能なうどん料理です。一般的に「うどん食では野菜が不足がちになる」と言われますが、しっぽくうどんは、このような香川県が抱える課題すらも解決するポテンシャルを持った料理なのではないでしょうか。

■しっぽくうどん〈レシピ 4人分〉

《材料》
うどん玉 4玉
大根   300g
ニンジン 100g
ゴボウ  100g
サトイモ 150g
油揚げ  1枚
豆腐   1/2丁
ネギ   3本
出汁   (水1L、イリコ30g)
薄口しょうゆ 60cc
みりん    30cc

《作り方》
(1)大根、ニンジン、油揚げは3cmの短冊切りにする。ゴボウはささがきに、サトイモはイチョウ切りにする。
(2)豆腐は2cmくらいの角切りにする。
(3)出汁に(1)の材料を入れ軟らかくなったら、豆腐を入れ、調味料で味をつける。
(4)どんぶりに温めたうどん玉を入れ、(3)をかけ、小口切りにしたネギを散らす。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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