「讃岐の食文化」の素朴な疑問⑮

野菜ソムリエ上級プロ 末原 俊幸

column

2023.06.01

春になって、店頭で短く色の白いゴボウを見かけるようになりました。

香川県では、春になると短くて色の白いゴボウ「新ゴボウ」が店頭に姿を現します。ゴボウといっても、一般的な皮が黒く細長いゴボウのイメージからかけ離れていますし、値段も一般的なゴボウと比較すると少し高いので、その味を知らないとなかなか手が伸びないかもしれません。

ゴボウの産地である青森県や茨城県は、火山灰土で土壌も深いことから、細長いゴボウが栽培されるのですが、香川県は粘りのある花崗岩土壌で、畑の土の深さも比べて浅いことから、同じゴボウを栽培しても、店頭で見かけるような細長い姿にはなりません。

このような中、冬場が温暖な気候を利用して栽培され、春に出荷が始まるのが「新ゴボウ」です。新ゴボウの特徴は、なんといっても柔らかくて香りが良いことで、煮物の様に長時間煮込むよりも、さっと湯がいてサラダのようなフレッシュ感を楽しむ料理がおすすめです。

一方で、とても鮮度のいい野菜で、根菜類ではなく葉菜類の取扱いが必要で、常温の台所において置くと、どんどん水分が抜けてしなびてしまうので注意が必要です。

余り知られていないことなのですが、香川県では新ゴボウの他に、最近はあまり見かけなくなってしまったのですが、冬場には短くて太いゴボウ(炭谷ゴボウ、安原ゴボウなどと呼ばれる)が、また、冬から春にかけはゴボウの茎(正確には葉柄)を食べる「葉ゴボウ」の3種類のゴボウが栽培されています。

冬から初夏にかけていろいろなゴボウが食べられるのも香川県の魅力ですよね。

野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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野菜ソムリエ 上級プロ 末原 俊幸さん

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