筑波大学に進学し、造園や動物生態学を学ぶ研究室に入った。そこで田んぼに生息するカエルを調査。毎日田んぼに通い、カエルの種類と分布域、カエルの生息を制限する要因は何なのかを調べた。
サミット、原発、多様な仕事
前任地の福島では、忘れられない経験をした。11年に起きた福島第一原子力発電所事故。除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を、最終処分するまでの間、安全に管理・保管するために設置される中間貯蔵施設で、初代の事務所長を務めた。「事故で国への信頼が失われている中、施設の整備を進めるに当たって、地元の方から厳しいお声もいただきました。初めてのことだったので、プレッシャーもありましたね」
多様な職務を通して、経験が自分の武器になるのだと確信した。「レンジャーは現場が一番。興味を持ったら挑戦する。トライ&エラーでもやってみるんです。あとは、赴任先でできるだけ地元に溶け込んで、転勤してからも遊びに行けるような関係を築きたいと思ってやってきました」
目指すは「ほら吹き」所長
「環境省は目立つ役所ではありません。でも外来生物や地球温暖化、公害、廃棄物など環境省の課題は、皆さんの生活に密着したものです。ほら貝のように、多方面に大きく響くように情報発信していきたい。目指すは『ほら吹き』所長です」。
モットーは楽しく前向き。それを体現するように、宇賀神さんの言葉も明るい。(鎌田 佳子)
宇賀神 知則 | うがじん とものり
- 1971年 東京都生まれ
1989年 東京都立青井高校 卒業
1993年 筑波大学第二学群農林学類 卒業
1995年 筑波大学大学院環境科学研究科 修了
環境庁 採用
2006年 北海道地方環境事務所
国立公園・保全整備課長
2008年 自然環境局野生生物課外来生物対策室
室長補佐
2011年 関東地方環境事務所日光自然環境事務所長
2013年 自然環境局総務課自然ふれあい推進室
室長補佐
2015年 東北地方環境事務所福島環境再生事務所
中間貯蔵施設等整備事務所
中間貯蔵施設浜通り事務所長
2016年 中国四国地方環境事務所 高松事務所長
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