仕事の枠を超えていけ!
自由な視座が支えたキャリア

三菱電機 四国支社支社長 木ノ下 英則さん

Interview

2024.08.15

ソフトテニスに打ち込む熱烈な体育会系の中学・高校生活から一転、硬式テニスのサークルを気軽に楽しんだ大学時代。社会を支えるビジネスに関心を持って受講した講座の一つで、ファクトリーオートメーション(FA)を知った。当時はヨーロッパが先進的で、国内はこれからという時期。「ものづくりで人々の生活を豊かにしたい」と志し、三菱電機を就職先に選んだ。最初の配属は関西支社機器第一部。FA創生期にモーター事業の営業を担当するという、まさに願ってもないキャリアのスタートとなった。

FA創生期の営業として奔走

入社して感じたのは、担当外分野の知識も身につけなくては顧客と対話ができないこと。関西2府4県の商圏内でパートナーである商社とともに自社製品を戦略的に展開する立場だが、「モーターそのものは他社と差別化しづらく、同じ取り付け寸法・仕様の製品の中から選ばれるには、提案力が不可欠」。まだ資料は手書き・連絡はファクスの時代でもあり、個人の知識や技量が今よりも問われる中、新人として自分らしさをどう打ち出すか、最初の1年は猛勉強と試行錯誤の年となった。「製作所で学んだり、お客さまの現場を見学させてもらったり、自分なりに顧客情報を深めて向き合ったためか、多くのお客さまにかわいがっていただきました」

積極的な学びが業務の幅を広げ、モーター事業以外のさまざまなプロジェクトにもかかわるチャンスを得る。その過程で他地域との連携も深めたおかげで、2010年に初めて関西支社から中部支社へ異動した時もスムーズだったという。「もともと自分の仕事の範囲を決めたくないタイプで、そういう姿勢を認め人を大切にする社風もあったので、のびのびキャリアを築けました」

中部支社・関西支社の機器第二部で課長を務めたのち、名古屋製作所の営業部でコントローラ課長に。全世界の窓口となるFA製造拠点の「工場営業」として、工場内でのマーケティング全般に携わった。積極的に海外にも出向くなど持ち前の身軽さと柔軟性を発揮して次長まで務めたが、翌20年、北陸支社FAシステム部長に赴任した前後にコロナ禍が直撃。フットワークを封じられて苦悩の2年を過ごすことになる。

22年、副支社長として古巣の関西支社に戻り、入社当初から担当した国内機器事業以外も含め、大きな視野に立って顧客との信頼関係を深める責任を負う立場に。今春からは四国支社長として初めての四国に赴任した。社会インフラを担うさまざまなお客さまに対して、「グループ力を生かした課題解決・提案力で、お客さまと地域の課題解決に貢献したい」と意気込む。「特にカーボンニュートラル、省人化、DXなどは今後避けて通れないテーマですが、四国ではまだ発展の余地がある分野。お客さまの新しい企業価値につながる提案ができるかどうかが鍵です」

視座の広い支社員を育てたい

四国支社内各部署へこまめに足を運び、支社員に気さくに声をかける習慣は、関西支社の頃から実践してきたコミュニケーションだ。「仕事は1人ではなし得ず、社内外いろんな人がかかわって成り立つとずっと感じています。四国支社は3フロアに分かれているから、もう少し横のつながりを深めて支社員の視座を広げたい」と、業務や世代を問わず少人数の交流の場を設けることも検討中。

新人時代から一貫して担当外の分野にも目を向け、「顧客に喜ばれる価値」を広く提案してきた経験から、支社員にも「小さい範囲での仕事に留まらないように」と説く。「専任性の高い大規模拠点とは違い、いろんな仕事にかかわれて自由なフィールドがある四国支社だからこそ、枠にとらわれない支社員に育ってほしい」と期待している。

戸塚 愛野

木ノ下 英則 | きのした ひでのり

略歴
1969年 京都府生まれ
1992年 立命館大学経済学部 卒
    三菱電機株式会社 入社
2020年 同 北陸支社 FAシステム部長
2022年 同 関西支社 副支社長兼機器第一部長
2024年 同 四国支社 支社長

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