地域企業の成長を支えたい

日本公認会計士協会四国会 会長 久保 誉一さん

Interview

2023.02.02

会計士の仕事に興味を持ったのは、大学3年の時。「ある人に公認会計士を勧められ、心がときめかないゼミは辞めることにして、とりあえず資格を身につけようと気楽に考えました。『お前が受かったら俺も会計士を目指す』と友人にからかわれたほどです」。独学で挑んだ最初の受検は失敗に終わり、両親に頭を下げて専門学校へ。勉強とバイトに追われる苦学生生活が始まった。

大都市での経験を経て 香川の強みを再発見

大学を卒業した1991年、公認会計士試験に合格。国内有数の会計事務所の東京事務所でキャリアをスタートする。2001年、高松事務所への転勤に伴って郷里に戻ってからは、四国四県の企業や国立大学の監査をはじめ、経営管理コンサルティングや株式公開を目指す企業のサポートなどにも取り組んでいる。「大都市とは規模こそ違いますが、香川には優れた人材や企業が多いことにあらためて気づきました。独自の技術を持ち収益力が高く、世界トップシェア企業もあり、ニッチトップの強さを感じます」

会計の仕事の面白さは「各業界の経営者層と直接対話し、ノウハウや人柄に触れて、知見を広められること」。こちらは会計の専門家だが、事業については企業側がプロだ。「若い頃は『こんなことも知らないのかと思われたくない』と構えたものですが、一般的な感覚で見るのも大切だと気付いた今は、素朴な疑問をぶつけていけば教えてくれるとの考えでいます。情報収集は常に心掛け、世の中のさまざまなことに関心を持ち続けようと努めています」。

後進の育成にも注力

日本公認会計士協会四国会での活動は、他の事務所の人とのつながりを広げたい、いろいろな人と知り合いたいという思いから。会の活動を通じて地域の同業者との交流を深め、2010年から同会幹事・副会長の役職を経て22年に会長に就任した。
四国会のメンバーと高知で懇親ゴルフ

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小学~高校生向けの職業紹介や体験企画を通じた後進の育成にも10年以上努めている。母校の高校で話を聞いた学生が、それをきっかけに会計士を志して面接に来たこともあるという。「不確実性の高い世の中で、情報の信頼性を担保するのが監査の仕事です。私たちが情報の正しさを示すことで、情報の利用者は安心し、資本市場や経済が動いていくわけです。安心できる社会づくりに貢献する仕事だと子どもたちにも伝え、一人でも興味を持ってくれたらうれしい」

会計士の活躍領域も広がっている中で、「あくまで地域に根差し、地域経済に貢献したい」と意欲的。「地元企業の成長を支え、多くの人材が地元に集まる土壌を支えるのが私たちの役目です」と語った。

戸塚 愛野

久保 誉一 | くぼ よいち

略歴
1968年 香川県生まれ
1991年 慶応義塾大学商学部卒
    監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)東京事務所 入所
2001年 同 高松事務所
2010年 日本公認会計士協会 四国会幹事
2019年 同本部理事・四国会副会長
2022年 同本部理事・四国会会長

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