経験を積み、自信を持つことで、人は成長する。バレーも仕事も同じことが言える。

サントリーフーズ 四国支店長 五味 康友さん

Interview

2010.12.02

サントリーフーズ四国支店長の五味康友さんには、週末になると別の肩書きが現れる。自宅がある埼玉県白岡町スポーツ少年団のバレーボール部会長、そして、スポーツ少年団「白岡JVC(ジュニアバレーボールクラブ)」の総監督としての顔だ。子どもたちを指導し、今年で17年になるという。

バレーボール未経験で、スポ少バレーの監督に

五味さん自身にバレーボールの経験はない。「僕はテニスをやっていたんです。小学生になった長女がバレーボールを始めたことが、小学生バレーに携わるきっかけですね」。長女・亜衣奈さんの練習に顔を出したり、試合で応援したりするうちに、当時の監督からコーチを要請される。「熱心に応援してたからかな(笑)。お父さん、指導を手伝ってくれませんかと。お断りしたんですが、経験がなくても十分教えられるからと強く言われましてね」。監督の下で数年間コーチとして指導したあと、広島県への転勤でいったんチームから離れたが、「3年して千葉に帰ってきたとき、今度は監督が引退するので後をやってくれと言われましてね、引き受けたんです」。

テニス経験者の五味さんは、元々球技は得意。バレーボールに対しても、ボールの大きさが変わったくらいで特に違和感はなかった。指導技術についても、有名クラブの練習方法をビデオなどで見て勉強した。幸運なこともあった。元全日本バレーボール選手でサントリーの監督も務めた大古誠司さんの息子・隆一さんが同じ職場に配属になり、実技指導者として協力してくれることになったのだ。「彼は中学、高校、大学とバレー経験がありましたが、社会人になってからは趣味で続けたいと言ってたんです。僕がこういうチームがあるけれど一度見に来るかと声をかけたら、気に入って毎週手伝いにきてくれるようになったんですよ」。練習では、五味さんが言葉で伝えたことを、大古さんが具体的な動きで示す。子どもたちの理解度は深まった。「実技で示してくれるから、子どもたちは『ああ、こうするんだ』とイメージしやすいんですね」。効果的な指導が功を奏し、予選を突破し埼玉県大会へ出場する機会が増えた。

頭も身体も切り替えて~平日と週末と

平日は仕事、週末はバレー指導と、まったく別の世界、人間関係の中で過ごす五味さん。「土日に仕事をしなくてもいいようにと、平日は仕事に没頭します。反対に土日は仕事を忘れて、バレー指導に打ち込む。簡単そうに言っていますが、実はとても忙しい(笑)。でもメリハリがつくし、充実もするんですよ。ストレスの発散にもなりますね」

そこには共通点もあると言う。「指導法ですね。昔はスパルタでも通用していたが、今は違います。それぞれの長所をいかに伸ばすか、ということが大切。バレーも仕事も、最初から簡単にできるものではない。経験を積ませることです。自信が持てると、どんどん伸びていけるんです」

コーチから監督になり、チームとつきあって17年。こんなに長くなると予想もしなかった五味さんだが、指導者としての歩みには、自分にバレー経験がなかったことが幸いしたのではと言う。「最初は経験のないスポーツを指導するなんてありえないと思っていました。が、経験がなければ一緒になって勉強すればいいんだと思えるようになりました。やったことがないから、自分自身も努力できるんですね」

高松へ転勤して2カ月。今は月に2回、隔週の金曜夜に帰省し、土日にはコートに立つ。「特に試合が組まれている日には帰ってやりたいんです。緊張している子どもたちをベンチから声をかけ、盛り上げてやりたい。だから逆に帰れなかった週は心配でならないんですよ」とにっこりと笑う五味さん。隔週末のバレー指導は当分続くことになるだろう。

五味 康友 | ごみ やすとも

略歴
1960年 1月7日 山梨県生まれ
1978年 3月 山梨県立塩山商業高校卒業
1978年 4月 サントリーフーズ株式会社入社
      埼玉営業所、東京北営業所、東京販売4課、
      東京量販課、首都圏支社量販営業部を経て
1998年 9月 中国支社販売2課 課長
2001年 9月 首都圏支社千葉支店 自販機課 課長
2004年 9月 首都圏支社埼玉支店 支店長
2007年 9月 首都圏支社東京第二支店 支店長
2010年 9月 中国四国支社 四国支店 支店長

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