幸せは人のつながりから生まれる

麺棒 代表取締役社長 白井 彰さん

Interview

2023.02.02

東京で大学生活を送り、機械科卒のスキルを生かして大手食品メーカーの技術職を務めた後、父の経営する株式会社麺棒に入社。機械には精通していても経営については素人同然で、中小企業大学校の後継者コースに通った。「自社の5年後のビジョンを描く課題で、具体的なアクションプランを立てたんです。不思議とその通りになりました」と振り返る。

同社のルーツはスーパー向けの袋麺製造・販売で、白井さんが入社した当時もスーパーのニーズが約6割を占めていた。「健康でおいしい麺づくり」を掲げ、配送まで計算に入れてできたてを届ける徹底したおいしさへのこだわりで消費者にも好評だったが、卸先スーパーの方針が価格優先に切り替わったことで状況が一変、品質を追求できず赤字に苦しむことになる。
短納期・24時間のコンビニニーズに 応えるためIT化・機械化も進行中

短納期・24時間のコンビニニーズに
応えるためIT化・機械化も進行中

そんな時、従来のコンビニ向け商品をブラッシュアップしてコンビニとの連携を大きく見直したのが白井さんだった。2017年にスーパー向けの販売は終了し、白井さんは29歳で社長に就任。現在も中国・四国エリアの大手コンビニ向け麺製品・総菜商品の卸売が100%を占める。

3年ほど前からは中小企業基盤整備機構四国本部の支援を受けて5S・改善活動に取り組み、コンビニ以外の販路を開拓する新規事業の構想も生まれたが、その実現に先立って組織の在り方を大きく見直し、2022年10月に「ミッション・ビジョン・バリュー」を発表した。コミュニティが希薄化する中で人のつながりを見つめ直す「ほっとするmen繋ぎ」をミッションに、「お接待社会の実現」をビジョンに掲げ、そのために必要なバリューを打ち出す内容だ。

バリューは「赤ん坊品質・失敗コレクター・生涯仲間・ものづくりよりファンづくり・なんでなんでなんで」の5つ。本当の高品質を追求し、失敗を恐れず挑戦しやすく互いにフォローし合う環境をつくり、製造工程に込められた意味を踏まえた改善を図りながら、麺棒そのもののファンを増やそうとする姿勢を現している。22年のインターンシップもこの理念の下、身近な人に感謝を伝えるお接待プログラムを地元の寺で実施した。

根底にあるのは、「昔ながらのコミュニティの温かさが香川にはまだ残っている。この人のつながりをしっかり形成すれば、もっと幸せになれるのではないか」という白井さんの思い。「発表から数カ月ですがすっかり社内に浸透して、既に変化の兆しも見えてきました。コンテンツ力には十分な手応えを得られましたから、次は発信力を強化する段階です」。若手の採用を視野に入れたSNS運用を進めつつ、いずれは消費者向けの発信力も高めていきたいと語る。「人が育てば、新事業にも向かっていけると期待しています」。

戸塚 愛野

白井 彰 | しらい あきら

略歴
2009年 電気通信大学知能機械工学科 卒業
2009年 株式会社明治乳業 入社
2012年 経済産業省・中小機構中小企業大学校 経営後継者研修
    株式会社麺棒 入社
2016年 同 社長就任

株式会社麺棒

住所
香川県善通寺市中村町1003-1
代表電話番号
0877-62-0783
設立
1980年
社員数
150名前後(繁忙期)
事業内容
調理麺・スナック麺・惣菜 製造
地図
URL
https://www.menbou.co.jp/
確認日
2023.02.02

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