「身に着けて楽しい」で日本文化を伝えていく
テキスタイルブランドYokke Pokke(ヨッケポッケ) デザイナー 磯野藍さん
2020.04.16
「身に着けて楽しい日本文化」をテーマに、全国の郷土玩具や民芸品をモチーフにして生地をデザインする。バッグやスカーフをよく見ると、香川県の張子虎や北海道の木彫り熊などが描かれている。生地の製造や縫製は国内の工場に依頼。日本でのものづくりにこだわる。
「伝統的なものをカラフルに表現すると、若い人たちにも面白がってもらえるのではと思いました。日本の地場産業を盛り上げたいという気持ちもあります」
励みになったのは社長の言葉だ。「やる気さえあればしたいことは実現できると言ってくれて。とりあえずやってみようという会社だったので、勉強しながらたくさんデザインしました。1年で100パターンぐらいは描きましたね」。14年、磯野さんがデザインしたマフラーが、ニューヨーク現代美術館のショップ「MoMA Design Store」で販売されることになった。デザインが認められたと、自信がついた。
2社のメーカーで仕事を経験し、改めて自分が作りたいものは何かを考えた。雑貨だけでなく生地作りから手掛ければ、もっと自由に表現できるのではないか――。17年、ヨッケポッケを立ち上げた。「人の倍以上、努力しなければと今も思っています」
作りたいものがあっても、縫製などの協力工場探しには苦労した。何十件と電話をかけ、ほとんど話を聞いてもらえなかった。展示会に出展し少しずつ人脈が広がると、協力工場も卸先も増えていった。実店舗での販売は、東京の雑貨店に加え、香港でも取り扱いがある。「いつか『マリメッコ』などテキスタイルが生活に溶け込む北欧で、展示・販売してみたいですね」
郷土玩具そのものの制作も始めている。地元の職人と一緒にオリジナルの張子虎や鳩笛(青森県)を作る。シリーズ化し、種類を増やしていきたいという。香川の土産物づくりも実現したいことの一つだ。憧れは、琴平町出身で画家やデザイナーとして活躍した和田邦坊(1899~1992年)。「渋さとかわいさがあって、飽きが来ない。邦坊さんが手掛けた商品のように、何十年と残る香川のお土産を作りたい」
来年までの法人化を目指し、いずれは東京と香川の2拠点で活動することを考えている。
鎌田 佳子
磯野 藍|いその あい
- 略歴
- 1986年 三豊市生まれ
2005年 香川誠陵高校 卒業
2009年 立命館大学 卒業
アパレルメーカー、服飾雑貨メーカーを経て
2017年 「4代目磯野商店」の屋号でテキスタイルブランド「YokkePokke」を創業
Yokke Pokke(ヨッケポッケ)
- 事業内容
- 渋谷スクランブルスクエア、ギンザシックス、ルミネ新宿店内の雑貨店、三越伊勢丹グループ、横浜高島屋、岡山県立ミュージアムショップなどで、オリジナル商品を販売
- URL
- https://www.yokkepokke.com
- 確認日
- 2020.04.07
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