
2代目社長の川北康伸さん(48)は「多種多様なものづくりができるのが、うちの強み。人の想像力には限りない可能性があります。『こういうものがあったらいいな』を形にする会社です」と話す。

メンズ手袋のオリジナルブランド「SoH(ソウ)」
東京のアパレルメーカーに就職し、入社から1年は社長室に所属。常に社長と行動を共にした。「何もできなくてたくさん叱られましたが、社長から言ってもらったことが経営者になった今、基礎になっていると感じます。『先から物事を考えなさい』といつも言われました」。商品の納期はもちろん、日々の業務はゴールから逆算してスタートを切ることが身についた。
その後、生産管理を担当。「品質・納期・コストの3つは100点を取って当たり前。できなければ怒られるけど、良くても何も言われない。報われない職種だなと思うこともありましたが、生産管理はアパレルの心臓部と言えます」
1998年、家業に入ったが「最初は会社の役に立っていなかった。営業の仕方も分からず、こんなに仕事って取れないのかと思いました」。アパレルメーカー時代の先輩から紹介してもらった東京の商社を訪ね、ファッション手袋を販売したのが、初めての仕事になった。「今もお付き合いがあり、その出会いには本当に感謝しています」
川北さんの入社後、力を入れてきたのがオリジナル商品とバッグの製造だ。OEMは大口の注文になるが、翌年も発注があるかは分からない。それと海外でも販売していくことを考えたとき、オリジナルブランドが必要だと思った。

「stairs design products」はスライド機能を持たせた
バッグやケースのオリジナルブランド
06年に会社のウェブサイトを立ち上げたことも、大きな転機となった。「こういうものを作ってほしいという依頼が、お客様からくるようになりました。サイトが営業してくれるんです」。ビリヤードやアメリカンフットボール用の手袋などニッチな依頼もあった。「大手ではなく、うちの規模だからできることがあると思います」
防災グッズを販売している会社から、グッズを入れるカバンを作ってほしいという注文もきた。数百の製造が今では数万に。「そんなところに需要があるなんて、僕らだけでは分からないことでした」
目指すのは100年企業だ。「会社は経営者ではなく、お客様の満足や社員の幸せのためにあるもの。だから一時的な隆盛ではだめで、長く続けないと。100年というビジョンがあることで、社員も安心して働けると思います」
4月には、初めての新卒社員が入社する。「100年企業になるには、若い人の力が必要です。モチベーションを10年20年保ち続けてもらえるのか、常識にとらわれず、こうしたら面白いのではということに挑戦したい」
鎌田 佳子
川北 康伸|かわきた やすのぶ
- 略歴
- 1971年 さぬき市生まれ
1990年 香川県立三本松高校 卒業
1994年 日本大学商学部 卒業
アパレルメーカーを経て
1998年 ダイコープロダクト 入社
2016年 代表取締役社長 就任
株式会社ダイコープロダクト
- 住所
- 香川県さぬき市大川町田面17‐4
- 代表電話番号
- 0879-43-3566
- 設立
- 1963年(創業)
- 事業内容
- 特殊作業用・スポーツ用・ファッション用手袋とファッションバッグの企画・製造・販売
- 地図
- URL
- https://daiko-product.com/
- 確認日
- 2020.02.28
おすすめ記事
-
2023.02.02
幸せは人のつながりから生まれる
麺棒 代表取締役社長 白井 彰さん
-
2022.12.01
個性を活かす自由でユニークな「島の酒蔵」
小豆島酒造株式会社 責任者 池田 亜紀さん
-
2022.09.01
モダンと伝統の融合を模索
寒川建築研究所 代表取締役 寒川 洋次さん
-
2022.07.07
ものづくりも健康経営も +αの価値ある挑戦を
葵機工 常務取締役 山中 治さん/総務部主任 佐々木 弥香さん
-
2013.04.18
障害者の就労と自立への意欲を応援したい
社会福祉法人朝日園 理事長 壷井 邦子さん
-
2021.09.16
丁寧に作ったものを、丁寧に売る
讃岐鉄器 槇塚 登さん
-
2021.05.20
お客様の「駆け込み寺」に
讃岐化学工業 代表取締役 鈴木琢真さん
-
2021.04.01
「ものづくりの原点」を50年後にも伝えたい
香川鋳造 専務取締役 仲井 愛美子さん
-
2020.09.03
持って帰りたくなる「箸」を世界に
Bo Project. 代表取締役 香川 直信さん
-
2020.04.16
「身に着けて楽しい」で日本文化を伝えていく
テキスタイルブランドYokke Pokke(ヨッケポッケ) デザイナー 磯野藍さん
-
2020.02.06
東かがわの手袋技術を伝えたい
tet.(テト)代表取締役 宮本健哉さん、専務取締役 松下 文さん
最新紙面情報
Vol.412 2025年08月21日号
「ここに来て良かった」 生徒一人一人に寄り添って
学校法人村上学園 理事長 村上学園高等学校 校長 村上 太さん
モニタリングの知見を生かし 地域と「顔の見える対話」を
日本銀行 高松支店長 稲村 保成さん
諸機関と柔軟に連携し 四国の中小企業に寄り添う
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 四国本部長 田中 学さん
まち全体を一つの「宿」に見立て 古民家を核に日常風景の魅力を発信
NIO YOSUGA 代表取締役 竹内 哲也さん/菅組 社長 菅 徹夫さん
生徒の「やってみたい」が地域とつながる 進化するボランティア団体「TSUNAGU」
大手前丸亀中学・高等学校