持って帰りたくなる「箸」を世界に

Bo Project. 代表取締役 香川 直信さん

Interview

2020.09.03

商品の企画開発を手掛けるBo Project.(ボープロジェクト)(高松市)は、代表取締役の香川直信さん(49)が2006年に立ち上げた。ニーズに応じた商品づくりを進めていくうちにたどり着いたのが、箸とスプーンなどのカトラリーだった。
顧客は東京都内の料理店や全国のホテル、結婚式場。天然木で作った箸を箱に入れて提供する。箸には店名やブランド名の焼き印、箱には箔押しで高級感が漂う。黒檀で作ったカトラリーは、政府や宮内庁の行事でも使われる。
高級料理店やホテルからオーダーを受けて箸を作る

高級料理店やホテルからオーダーを受けて箸を作る

旧綾歌町出身の香川さんは高校卒業後、福岡県の大学に進学。商売に興味があり、在学中に同級生とワンコインバーを始めると、当時は珍しさもあり人気店になったという。外国人客が多く、海外への興味も沸いた。大学卒業後、1年間オーストラリアに留学。帰国後は建設会社や総合商社で営業職として働いた。

「ずっと会社員でいるのは違う」と感じ、本を読んだり起業塾に通ったりして、自分は何がしたいのか、世の中にまだないサービスは何か、1年半ほど悩んだ。考えた結果「自分が何かをするのではなく、何かをしたい人をサポートするほうが向いている」という答えが出た。

35歳で起業し、アメニティーなどの備品をホテルに販売する仕事を始めた。オーダーを受けて、顧客ごとにオリジナのものを作る中で「その場で使えて家に持ち帰れるものが欲しい」という要望があった。「箸は使う人を選ばないし、いくらもらっても困らない。その日の食事や経験など、思い出と一緒に持って帰れます」。持ち運びやすいよう箱入りにした。箸の素材はサクラやヒノキ、スギ、ケヤキなどの天然木。三角・四角・五角形など形や長さを選べる。無地や漆塗りなど仕上げも様々だ。一般的な業務用の割り箸は1膳数円から数十円程度だが、Bo Project.の箸は平均500円前後。サクラは「門出」、材質が硬い木は「絆」といったストーリーを持たせると、当初は結婚式の引き出物として人気が出た。

東京・恵比寿の料理店「賛否両論」で箸が使われ始めると、都内の高級料理店でも次々と採用された。
黒檀のカトラリーはG20大阪サミットの夕食会や、内閣総理大臣夫妻主催晩餐会でも使われた

黒檀のカトラリーはG20大阪サミットの夕食会や、内閣総理大臣夫妻主催晩餐会でも使われた

高松の本社に加え、東京と京都に支社を置く。今年から京都府・京都市と共に、京都で育った木で箸を作り、京都で使うというサスティナブルプロジェクトを開始。「使い捨てずに持って帰るというコンセプトが、時代に合っているんだと思います」

今後は、販路を海外にも広げたいと考えている。食器やバッグのように、箸でも有名ブランドを作ることが目標だ。「自分が面白いと思うか、世の中の役に立つかが、仕事をする基準。国産木材を無駄にせず使うことで、社会の課題解決にも貢献できたら。国内の木工技術も守っていきたい」

鎌田 佳子

香川 直信|かがわ ただのぶ

略歴
1971年 旧綾歌町生まれ
1989年 香川県藤井高校 卒業
1993年 久留米工業大学 卒業
留学、建設会社と総合商社での勤務を経て
2006年 株式会社 Bo Project.設立

株式会社 Bo Project.

住所
香川県高松市東田町1-1 Be-ING今竹ビル5階
代表電話番号
087-813-3936
事業内容
商品の企画開発・輸入・卸売・製造
地図
URL
https://www.kichi-bp.com
確認日
2020.08.21

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