お客様の「駆け込み寺」に

讃岐化学工業 代表取締役 鈴木琢真さん

Interview

2021.05.20

中央が鈴木さん

中央が鈴木さん

高松市と東かがわ市に工場を置く讃岐化学工業は、ファインケミカルを生産する。具体的には有機化学合成という手法で、医薬品中間体といわれるものや、半導体や液晶ディスプレイに使われる電子材料を作っている。生産の8割が電子材料で、スマートフォンやパソコンに使われるものだ。いわば、ものづくりの「川上」にいる。

1950年の創業時は、農薬の原料などを製造していた。化学合成という技術は変わらないが、農薬、医薬品、電子材料と、携わる分野を時代に合わせて変えてきた。取引先は主に化学品メーカーで、顧客の要望に応えて受託合成を行う。

代表取締役の鈴木琢真さん(46)は、「工場は大きな実験室のようなものです。50人規模でこれだけの設備が揃っているのは、当社ぐらいでは。設備と人で、お客様の要望に応えるために一生懸命に取り組む。今のやり方に信念を持っています」と話す。顧客のニーズから業界の潮流を読み、先行投資で設備を整えていく。ppt(1兆分の1)の不純物の分析ができる装置もあるという。
工場と品質検査室の様子

工場と品質検査室の様子

先代は鈴木さんのおじにあたり、2019年に社長を引き継いだ。父も同社に勤め、子どもの頃から化学を身近に感じ、自然と興味を持った。1999年に入社したが、すぐさま取引会社に出向。シンガポールの工場で勤務することになった。100人規模の工場に日本人は数人だけ、ほとんどが現地採用の従業員。新卒で海外勤務、しかも結婚したばかり。「神経は図太い方ですが、さすがに滅入りました。でもシンガポールでの経験が、今に生きています」

1年は研究者として、医薬品中間体の「バグ出し」に携わった。2年目からは、作業の効率化など業務改善を担当。人はどうやって動くのか、工場内の待ち時間や実際の作業時間など全てを記録し、分析した。コミュニケーションを取るため、同僚には積極的に英語で話しかけた。信頼を得るには結果を出すしかないということを、身をもって経験した2年だった。

2001年に帰国し、讃岐化学工業に戻った。周りから「次の社長だ」と見られていることを感じながら、とにかく目の前の仕事に一生懸命だった。「仕事に打ち込むからこそ気づきがあり、成長できる。若いときの10年くらいは、仕事に夢中になる時間があっていいと思います。その経験が『貯金』になって、後の自分を助けてくれる。がむしゃらに頑張れる時期って、そうありませんから」

いつも心に留めているのは、ものづくりは完成がゴールではないということ。「完成品を使って満足したり喜んでもらうことがゴール。何のためのものづくりなのかを忘れてはいけません」

「お客様が『讃岐化学工業に行けば、どうにかしてくれる』と思う、駆け込み寺のような会社でありたい。納期が短かったり、特殊な物質を扱ったり。それを安全に行うのが、当社にしかできないものづくりだと思います」。新規の設備投資が重要な業種だが、動かす人がいなければ意味がない。今後はさらに、設備投資と人材育成の両立を図っていく。

鎌田 佳子

鈴木 琢真|すずき たくま

略歴
1974年 高松市生まれ
1993年 高松西高校 卒業
1997年 岡山大学工学部 卒業
1999年 岡山大学工学研究科 修了
     讃岐化学工業 入社
2019年 代表取締役 就任

讃岐化学工業株式会社

住所
香川県高松市朝日町4丁目12‐44
代表電話番号
087・851・8836
事業内容
化学品の受託合成
地図
URL
http://www.sanukikagaku.co.jp/
確認日
2021.05.20

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