1998年11月、開発地の端にベニヤ合板とブルーシートで水槽をつくり、そこに砂を敷き、「ししおどし」方式で波を起こすという簡易な装置で実験は開始されました。干満は海水の出入りをタイマー付きポンプで調節しました。
専門家からは「海水はすぐに腐敗して濁る」と指摘されましたが、水質の悪化は見られませんでした。水槽内には徐々に海藻類、小さな貝やカニ、エビ、ウニやナマコまで海の生物が増加していったのです。
しかし、春先の海水温の上昇に伴い海藻の一部が浮遊する「流れ藻」が発生、それが腐敗する事態が起こりました。人工ろ過機や滅菌装置などは使用したくない。解決策としては、波の力で浮遊物を池から押し出すことが考えられました。
そのためには強力な波が不可欠です。極力動力を用いずに波を発生するメンテナンスフリーの造波装置の製作が最大の課題となったのです。
1999年12月、つくば市にある民間の水理実験場で、池の模型と造波装置の試作が始まりました。しかし、瀬戸内の海辺を再現可能な、波高、強さ、波音、噴出など長尾さんの要求について、実験場のトップからは「動力なしでその性能を満たすのは無理」と引導を渡されました。
時間的な余裕はない。長尾さんは毎日必死で考え続け、ついに全く新しい発想が湧いたのです。ドラム缶状の金属円筒を横にして上部に切り込みを入れた新型回転造波装置です。早速図面を書いて筑波に向かいました。
海水地背面の岩石部に設置された造波装置(断面図)≪長尾克宏さん提供≫
サンポート高松の再開発事業は、多くの方々の努力と熱意の積み重ねの上に成り立っています。駅前の「海水池」もその一例です。そこに宿る物語を皆さんと共有することによって、地域の魅力は深味を増していきます。どうぞ、一度、この「小さな海」をのぞいてみてください。
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