航空会社としての地域貢献を追求

全日本空輸 高松支店長 細谷 昌美さん

Interview

2023.07.06

華やかな客室乗務員のイメージに憧れて飛び込んだ航空業界。乗務以外にも幅広い経験を磨き、今春から全日本空輸・ANAあきんど両高松支店の支店長を兼務。同社でもまだ数少ない女性支店長の1人で、「航空会社はチケットを売るだけでなく、長期的な視野で地域とともに歩む時代。地域のためにできることを多角的に考えたい」と意欲を見せる。

幅広い経験が学びを深めた

入社後は乗務一筋、5年ほどで約10人のチームの責任者に。しかし後輩指導に打ち込む中で自身のインプット不足を感じるようになり、社内公募で法人営業職のチャンスをつかんだ。「乗務員としての業務は身につけていても、営業はゼロからの勉強。大変でしたが、仕事の成果が数字に表れるのが新鮮で楽しくて。3年後に客室乗務に戻ってからも、営業経験がお客さまとの接し方を深めてくれました」と振り返る。

管理職となった40代で国内・国際線の客室乗務の統合、エアーニッポンとの統合に伴う出向などを経験した後、グループ会社での機内販売システムの開発・販促に携わる。販売端末改修による機内業務の効率化や電子決済導入のほか、商品の搭載方法を研究したり、販売する客室乗務員向けのインセンティブキャンペーンをしたりと試行錯誤を重ねた。

再び客室乗務に戻り、乗務員約8000人のうち1000人を束ねる立場となったが、コロナ禍の直撃を受けて運航便数が激減。少ないフライトを割り振るに当たって、「希望する路線のみ乗務」「土日祝休み」「地方からの通勤」などを可能にする大胆な働き方改革に取り組んだ。コロナ禍で中国・武漢から帰国する邦人向けのチャーター機に乗務し、公共交通機関の使命をあらためて実感する機会も得た。

「自分ではわからない自分の可能性を会社が広げてくれた」という多彩なキャリアを支えたのは、外部での経験や成果を重視するANAの風土とともに、客室乗務で磨いたコミュニケーション力だ。「お客さまと対話してニーズを引き出すのが乗務員の仕事。自分から積極的にアプローチする姿勢が他の業務でも生きています」

地域の魅力発信に意欲

小豆島との交流会(23年5月)

小豆島との交流会(23年5月)

高松支店長として重視するのは、地域の観光・産業との連携。善通寺とのコラボレーション御朱印帳や、客室乗務員としての経験を生かしたセミナーなどのユニークな企画も進んでいる。「東京出身の私自身、毎日が今とても楽しくて、四国の魅力を日々実感している一人です。四国のブランド力を発信するお手伝いを通じて地域が盛り上がれば、人流が増えて間接的に当社にもプラスになり、地域・お客さま・私たちの『三方よし』につながるのでは」。地域や他企業との交流でも物怖じしない行動力を発揮し、「相手を問わずどんどん突っ込んでいくタイプで、失敗も多い新参者ですが、オンオフ問わず温かく導いてくれる周囲との関係を大切に育みたい」と語る。

戸塚 愛野

細谷 昌美 | ほそや まさみ

略歴
1989年 日本女子大学 卒業
    全日本空輸(株)東京空港支店客室部
1999年 販売本部東京支店法人販売部
2002年 客室本部東京客室部
2010年 エアーニッポン(株)出向
2012年 ANAウィングス(株)出向
2013年 全日空商事(株)機内販売事業部出向
2016年 全日本空輸(株)客室センター客室乗務部
2021年 同部 リーダー
2023年 全日本空輸(株)高松支店長

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