ワンストップサービス 強いデータセンター「Powerico」パワリコ

STNet 社長 中村 進さん

Interview

2013.11.21

企業戦略には始点があり帰結点がある。(株)STNetの新社長に、今年6月、中村進さん(59)が就任した。

昨年12月着工、今年12月からサービスを開始するデータセンター「Powerico(パワリコ)」は、IT機器や情報システムなどの保管運用サービスを提供する施設だ。

さらに今後の増床計画で、3000ラック以上が収容可能になる西日本最大級のデータセンターは、STNetの中核事業になる。

「通信」や「情報」の垣根を越えた融合サービスが拡大している。古賀良隆先代社長が取り組んだデータセンタープロジェクトを着実に進めるという中村さんは、パワリコから次の成長ステージが展開すると予感している。

ラック
薄型のコンピューターなどを積み重ねて設置することができる専用の棚。

強いデータセンター

なぜ香川にデータセンターを建設するのか。コンピューターメーカーも、情報システムの企画、運用などの業務を請け負うSIベンダーも、通信キャリアも外資も競争相手なのに、どうやって頭角を現すのか。

「立地と設備とサービスの強さです。強くなければデータセンターとは言えません」

東日本大震災の後、データセンターの選定基準は、(1)自然災害リスクが低い安心な場所か? (2)有事の際にもデータセンター機能が停止しないよう堅牢な設備が整っているか?がポイントとなっている。

パワリコは、それらの期待に応えられる最新鋭で最強のデータセンターだと中村さんは話す。

強い立地に強いガード

香川県は自然災害リスクが少ない。気象庁の過去80年間の記録では、震度6以上の地震がない。また建設地は、海岸線から約6キロ、海抜約14.5メートルに位置していることから、南海トラフ地震発生時に想定される津波被害の影響は受けない。加えて、液状化の危険性も極めて低いとされている、最高のロケーションだ。

「設備においては、耐震性もセキュリティも万全です」

建物は「基礎免震構造」の採用で震度7クラスの大規模地震でも倒壊せず、揺れを軽減し、IT機器の継続使用が可能だ。

セキュリティは、一人ひとりがICカードを持っていないと入退館出来ないし、空港で使用されている金属探知機や侵入検知センサー、監視カメラ、生体認証装置などを組み合わせた、7段階のガードで不審者は見逃さない。

ワンストップサービスの強さ

データセンターサービスの利用中に不具合が起きたら、障害場所の特定に手間がかかる。通信回線かコンピューター機器か、あるいは保管しているシステムかもしれない。

「わが社は、システム開発から通信サービス、クラウドまでワンストップでご提供していますから、迅速な原因究明と復旧が可能です」

コンピューターメーカーやSIベンダーや通信キャリアは、自社分野以外の運用・保守を外部に頼むことになる。

STNetは、ワンストップソリューションという他社にはない強みを最大限に活かした事業展開を目指しているようだ。

クラウド
クラウドコンピューティング(cloud computing)。コンピューター資源の利用形態。ユーザーは、コンピューターによる処理やデータをネットワーク経由で利用する。

社長の使命

「技術者でない私が技術力を核とした会社のリーダーシップをとるために、一番大事なのは、みんなを信じることだと思います」

情報通信の激しい変化の波を、社員みんなが自らを変革して乗り越えてきた。その素晴らしい能力を活かせば、これから待ち受けているもっと激しい変化の荒波に耐えられる。

会社は取締役会が方針を決めて、部門に任せる。部門は計画・実行・評価・改善の4段階を、悩み苦しみながら繰り返す。組織はそれで強くなる。

「任せることは信じることです。すごく大事です」。中村さんの信念だ。

使命感と誇り

「社員の意志で実現したデータセンターです。このモチベーションが、みんなの活力の源です」

通産省時代に、第二次オイルショックを経験した。石油以外の代替エネルギーへどうやってシフトするか、需給見通しとエネルギー政策の立案に携わった。使命感で、睡眠時間がほとんどないのによく持ち堪えた。

STNetも同じだ。「ますます重要になっている通信インフラなどを運用し守る役割を担っていることは、社員みんなの誇りです」。中村さんは胸を張った。

顧客を支えるパートナーへ

12月からサービスを始めるデータセンター「Powerico」=高松市

12月からサービスを始めるデータセンター「Powerico」=高松市

IT機器や情報システムの運用管理の重要性は増している。そのためのセキュリティ対策や災害対策など、幅広いノウハウが求められるようになったが、ユーザーが対応するには負担が大きい。

STNetは、IT機器や情報システムの安定的な稼働を実現して、顧客のビジネスを支援するパートナーを目指す。

「信頼性の高いネットワークやデータセンター設備で、自治体や様々な業種の情報通信を支えてきた実績と技術力を活かし、快適なIT環境をご提供していきたい」

そのためにも、「一人ひとりの能力を高め、会社全体としてチームワークを活かす」。社長就任の言葉は、ワンストップサービスのノウハウをさらに進化させることだ。

「パワリコ」の強さを語る中村さんは、ワンストップサービスを顧客の求める最適なサービスへ深めていくことが、次の成長ステージへ繋がると確信している。

中村 進 | なかむら すすむ

1954年 奈良県生まれ
1976年 東京大学工学部 卒業
    通商産業省 入省
2008年 四国電力 入社
2012年 STNet 入社
2013年 代表取締役社長 就任
写真
中村 進 | なかむら すすむ

株式会社 STNet

所在地
高松市春日町1735番地3
設立
1984年
資本金
100億円(四国電力100%出資)
売上高
売上高293億9500万円(2013年3月期)
従業員数
591人(2013年3月現在)
主な事業
•電気通信事業法に基づく電気通信事業
•情報処理システム、通信システムに関するソフトウェアの設計、開発、保守運用、販売
•情報処理サービスおよびデータセンターサービス
URL
http://www.stnet.co.jp/
確認日
2018.01.04

記事一覧

おすすめ記事

メールマガジン登録
メールマガジン登録
ビジネス香川Facebookページ