シンプル、便利、美しい革製品

ヴィンテージ リバイバル プロダクションズ 代表 塩田 裕基さん

Interview

2014.11.20

「使うほどに味が出て良くなる。そんな素材、なかなかありませんよ」。革の魅力を語る熱っぽさ。塩田裕基さん(46)の話を聞いていると、革製品が欲しくなってくる。幼いころ、大人の着るレザージャケットやブーツが格好良く、ずっと憧れていたそう。大人になってからは、こだわりの革製品を探すことが楽しみの一つになった。
30歳を前に帰郷し、家業の造船を手伝うことに。塩田さんは船の設計を、弟の幸司さん(40)は溶接や内装を担当していた。不況のあおりを受けて、仕事の休みが増えていったことが転機となった。

ヴィンテージジーンズを集めることも趣味の一つだった。はけなくなったものを使って小物を作れないかと、ミシンを習った。携帯ケースを作ったところ、たちまち友人の間で評判に。

「自分の作った物を、人に気に入ってもらえるのがうれしかったですね」。もっと小物のデザインをしてみたくなった。手先が器用な幸司さんに縫製を頼み、塩田さんはデザインに没頭。

2008年に「ヴィンテージ リバイバル プロダクションズ」のホームページを立ち上げた。飛び込みで営業を行い、高松市内の洋服店でも販売を開始。それまでは素材にヴィンテージジーンズを使っていたが、以前から好きだった革で勝負しようと決めた。
09年に発売したのが、主力商品である「キークリップ」。これまで4万個ほど売り上げたという。ホワイトボードにくっつくマグネットと、サンプルで目にした金具を組み合わせたら面白いと思いついた。「鍵をなくさないキーホルダー」が生まれた瞬間だった。

「鍵が見当たらないという経験は、誰にでもあるのでは。キークリップを使えば、持ち歩くときも保管するときも、在りかがすぐに分かります」。マグネットが入った部分を折り返すと、鞄やポケットなどの布を挟み込んで固定できる。クリップせずに、そのまま金属製のドアにつけておくことも可能。「鍵は誰でも持つもの。男女問わず、多くの人に使ってもらえると思いましたね」

パスウェアやスマートフォンケース、エアウォレットなども次々に誕生。エアウォレットは、手にするとあまりの軽さに驚く。最も軽いもので約30グラムしかない。無駄を省いたシンプルなつくり。それでいて、使い勝手が良い。

デザインするにあたって、財布の概念を一度壊し、新しいスタンダードを考えた。「小銭入れやカード入れが、なぜこの形でこの位置なのか、いろいろな財布を見ました。奇をてらったデザインにするのではなく、使いやすく自分も欲しいと思えるかに重きを置いています」

商品は全てミシンと手作業で仕上げる。ステッチのゆがみは細かく確認し、納得のいくものだけが店頭に並ぶ。東京や大阪の百貨店でも扱われるようになった。今年、販路はさらに拡大。春にエアウォレットが全日空の機内販売に採用され、ファッションブランド「ヒステリックグラマー」とのコラボレーションも始まった。

そして、6月には丸亀市に店舗を構えた。販売スペースの奥に工房があり、ハンマーで革を叩く音が心地よく響く。「革製品の王道はバッグ。作り方を研究して、いずれチャレンジしたい。今は得意とする小物づくりを極めるため、このまま突き進みたいですね」

塩田 裕基 | しおた ゆうき

1968年1月 多度津町生まれ
1990年3月 関東学院大学 卒業
1994年4月 株式会社パワークルーザー 入社
2008年4月 ヴィンテージ リバイバル プロダクションズ設立
写真
塩田 裕基 | しおた ゆうき

ヴィンテージ リバイバル プロダクションズ

住所
香川県丸亀市土器町東9-155
代表電話番号
0877-35-8630
設立
2008年4月
社員数
4人
事業内容
財布、鞄等革製品の企画・デザイン及び製造・販売
地図
URL
http://www.vrp-jp.com/
確認日
2018.06.21

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