加工業からサービスプロバイダへ
刺しゅうが紡ぐ新たな「価値」

株式会社オーキッド 取締役社長 廣瀬 裕詞さん

Interview

2024.05.02

精緻な刺しゅう加工技術を生かしたオリジナルグッズ制作で、個人・法人問わず高い人気を誇るオーキッド。刺しゅうの立体感と印刷の細かい色彩の再現性を組み合わせた独自手法「せと刺繍」、刺しゅう機だけでなく昇華転写、レーザー・NC裁断などの充実した設備、即日納品にも応える短納期や生地から製品まで多様な商材への加工、一点ものから数万個単位まで幅広いロット対応など、顧客のニーズに対応した柔軟なものづくりが強みだ。

昨秋社長に就任した廣瀬さんは、「ずっと加工メーカーとしての強みを追求してきましたが、高い付加価値を打ち出し『多様化する顧客ニーズに対応した加工サービスを柔軟に提案できる企業』への転換が必要な時期だと感じています」と語り、ネット戦略の充実・拡大と海外進出を視野に、新しいステージに踏み出そうとしている。
設備投資に力を入れ、自動化が進む製造ライン

設備投資に力を入れ、自動化が進む製造ライン

同社の受注の9割はネットからの流入で、公式サイトでは加工方法や商品を選んでオリジナル刺しゅうデータを手軽に生成・発注できるオンラインサービスを展開中。取り扱う商材はワッペン、バッグ、ネクタイ、ユニフォームなど幅広く、特に人気なのはリストバンドとタオルだという。

海外展開を考えるようになったきっかけは、2023年秋。いつものようにメールを確認していたところ、アメリカから「仕事で使っている衣服に家紋のデザインを刺しゅうしたい」というオリジナル刺しゅう加工の問い合わせがあった。不慣れな英語でのやり取りに始まり、商材の輸送など手探りでの案件だったそう。デザインがあればアメリカの加工メーカーでもできることをわざわざ日本のメーカーに打診してきたのは、家紋の独自性や長い歴史を持つ日本の刺しゅう技術といったメイドインジャパンの文化的背景を重視したからだということがわかった。

「海外との距離が一気に縮まり、打ち出し方次第で海外ニーズを開拓できると気づいた出会いでした。特に海外からわざわざ日本にオーダーするお客さまは、一人一人が大きな広告塔になってくれるでしょう。ネット隆盛の時代でもものづくりはアナログで、私たちは無機質なWEBと有機的な繊維の世界を結びつけ、次世代につないでいこうとしています。当社のファンを増やし、新しい市場を切り拓くためにも、人と人のつながりを大切にしたい」と廣瀬さんは語る。
大手アパレルブランドとタイアップし、その場で オリジナル刺しゅうを入れる出張サービスを提供(23年12月)

大手アパレルブランドとタイアップし、その場で
オリジナル刺しゅうを入れる出張サービスを提供(23年12月)

ビジネスチャンス創出を支えるのは、ネットを主体とした情報発信の強化と顧客にとって使い勝手のよい仕組みづくり。「刺しゅうが施せる素材なら、何でも対応できるはずです。耐久性が高く表現の幅も広い刺しゅうをもっと身近に感じてもらえるよう、サイトをさらにシンプルにしてわかりやすく、お客さまが出来上がった製品をイメージできる内容にできれば…」。ユーザーが直感的に操作できるデザインと、扱う商材の幅を増やすことで、より多くの人に刺しゅうの魅力を感じてもらいたいと考えている。

モチベーションは「刺しゅうという表現ツールを喜ばれること」と廣瀬さん。「高付加価値なサービスをどう発信するかは、他にもいろんなことにチャレンジして、そこから生まれたものを絞り込んでいくつもりです。行動には勇気が要りますが、歩みを止めないこと! 結果はお客さまが判断してくれるでしょう」と意気込みを語った。

戸塚 愛野

株式会社オーキッド

住所
香川県高松市六条町1122-3
代表電話番号
087-868-3600
設立
昭和63年9月
社員数
32名
事業内容
衣料・雑貨の小売、卸売り
衣料の刺繍・プリント・転写加工
繊維SP&繊維販促ツールの企画提案&制作
各種タオル 国内・海外生産
各種イベント用宣材及びノベルティの企画提案&制作
繊維オリジナルデザイングッズ制作・販売
地図
URL
https://www.orchid.factory-shop.info/
確認日
2024.05.02

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