音楽で感性を磨き、登山や遍路巡りで体力を鍛える。これが最良の余暇の過ごし方

高松地方検察庁 検事正 松田 章さん

Interview

2009.07.02

職務上、一人ひとりの人権に深く関わることが多く、「常に神経を使う日々です」と語る高松地方検察庁検事正の松田章さん。デスクワークが中心となる管理職の今、以前にも増してストレスを感じる場面は多くなった。そんな松田さんのリフレッシュ法は、音楽と山歩き、そして高松に赴任してから本格的になったお遍路巡りという。

自分でも歌ってみたい

もともと音楽好き。学生時代は吹奏楽部でクラリネットを吹いていたが、就職してからは音楽と離れた。転機はロンドンの日本大使館時代。「オペラ好きのお客様が多く、ご案内して出かけるのが最初は苦痛でした。ある日、エディタ・グルベローヴァの『ルチア』を聴いて、こんなに素晴らしいものだったのかと気づきました」。以後お客様と多くの演奏会やオペラに行き、そのうち「またみんなで音楽やりたいなという気持ちがふつふつと湧いてきた」。楽器は今更やり直せないからと合唱団に入った。単身赴任だった名古屋時代でのことだ。「愛知万博に協賛したコンサートで、愛知県芸術劇場で名古屋フィルと共演したんです。指揮者も素晴らしく、合唱への指示も的確。いいようのない一体感を感じ、これはやめられないと」。以後転勤しても、時間が許せば合唱に関わっている。

特に高松でのトピックは、5月23、24日にサンポートホール高松の開館5周年記念で公演した世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」に合唱団の一人として参加したこと。転勤直後に加入した香川二期会合唱団で出演を誘われ、記念公演の合唱団に加わった。「合唱と管弦楽、バレエが加わった300人を超す大がかりな演奏会。めったにできない経験ができましたね」

今は7月12 日(日)に迫った香川二期会合唱団の定期演奏会(アルファあなぶきホール大ホール)に向けての練習が続いている。

体を動かしてストレス発散

以前から山に親しんでいた松田さんが、本格的に取り組むようになったのも名古屋時代。日本山岳会東海支部が準会員を対象に企画したリーダー養成講座に参加したことがきっかけだ。「地図や天気図の読み方、救急医療、山行リーダーをする場合の注意事項などを学んだり、磁石と地図を持って山に入ったり、岩に登ったりなど、一通りの訓練を受けましたね」。松田さんはその後推薦を受け、正会員にもなっている。残念ながら四国には高い山は少なく「石鎚、剣などには登りましたが」、現在興味は歩き遍路にスライドしている。

最初はバスを利用して四国霊場八十八カ所を回り始めた松田さんだが、「バスではお遍路の良さは十分には分からない。土地の雰囲気を味わいながら進む歩き遍路が本当の遍路だと感じ」、歩き遍路に転向し、1日25kmから30kmを歩いて、徳島県と香川県の30数カ寺をすでに歩き通している。

何をするにも誠心誠意で

多忙な日々を送る松田さんは、忙しいからこそ余暇を効率よく使いたいと考えている。限られた時間を無駄にしたくない。「仕事で徹底的に頭を使いますから、音楽で感性を磨き、登山やお遍路で体力を鍛えたいんです」。週に一度の合唱の練習も、残り時間30分となってもなるべく参加する。
「充実した余暇の過ごし方が、良い仕事に繋がる。両者のバランスをうまくとることが大切なんですね」

松田 章 | まつだ あきら

略歴
石川県金沢市生まれ
1973年 9月 司法試験合格
1976年 3月 最高裁判所司法研修所修了
1976年 4月以降 法務省検事
     (大阪、東京、静岡などで勤務)
1983年 3月 アメリカ合衆国にて陪審などの司法制度を研究
1984年10月 法務省大臣官房人事課・刑事局
1987年 7月 在ロンドン日本国大使館一等書記官
     (法務担当)
1991年 4月 東京地検特捜部検事
1993年 4月 法務総合研究所研究官
1996年12月以降 東京地検総務部副部長、横浜地検公判
      部長、名古屋高検総務部長などを経て、
2003年 4月 慶應義塾大学法科大学院教授
2006年 4月 最高検察庁検事
2008年 7月 高松地検 検事正
写真
松田 章 | まつだ あきら

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