国民の信頼と期待に応えたい

高松法務局長 古谷 剛司さん

Interview

2023.08.03

法務局の業務は、国民の権利の保全、取引の安全、法人の信用保持などに関わる不動産登記、地図作製、商業・法人登記、成年後見登記、戸籍、国籍などの民事行政から、国の利害にかかわる訴訟や人権擁護に至るまで、実に多岐にわたる。古谷さんはバブル期に法務省を選び、登記の情報化・オンライン化業務を中心に、大臣官房や民事局、総務省行政管理局など通算20年以上を本省で過ごし、今春から高松法務局長として四国の地を踏んだ。

相続登記の義務化を周知

遺言書保管制度のポスター

遺言書保管制度のポスター

現在重点的にPRしているのが、2024年4月から義務化される『相続登記の申請』だ。「所有者不明土地」の解消を目指す制度で、登記の義務化に先立ち、相続した土地を手放すための『相続土地国庫帰属制度』も今春から開始した。「親族間でのトラブルを避けて遺産分割をしないなど、未登記の事情はさまざまですが、地権者がわからないと公共事業や災害復興、空き家問題、地域の開発などに大きな影響を及ぼしてしまいます」。義務化に向けて、7月からは司法書士会や土地家屋調査士会と連携した定期的な無料相談会も開催している。

また、特に土地の権利関係が複雑な高松の中心市街地について、2016年から土地の境界を明らかにする地図の作成も進行中。「市街地活性化の再開発などを後押しするためです。24年度中には完成させたい」と意気込む。

相続をめぐる争いを防止する方法の一つに、遺言書がある。2020年にスタートした『自筆証書遺言書保管制度』は、法務局が遺言書を預かることで改ざんや紛失を防ぐとともに、遺言者の死亡後は相続人などに通知して、円滑な相続を支援するサービスだ。「遺産分割で争いを避けたい」というニーズは高く、終活の一つに取り入れる利用者も増えているという。

人権啓発や相談窓口充実も

赴任間もない5月、大島にある国立療養所・大島青松園を訪問。「人権擁護も法務局の重要な役割です。差別などの人権問題は、自ら感じて考えることが大事。大島の歴史があらゆる差別・偏見の解消と人権問題を考える機会になるよう、啓発を続けたい」

悩みを抱える子どもたちに向けては、『こどもの人権110番』『こどもの人権SOSミニレター』での相談に加えて、今年1月からSNSを活用した『LINEじんけん相談』をスタートさせた。ビジネスの場における人権尊重の取り組みも支援しようと、企業の人権研修への講師派遣にも対応している。

法務は特に「信頼」が問われる分野だという古谷さん。「幅広い業務を通じて国民の信頼と期待に応えるのが、私たちの使命です」と語った。

戸塚 愛野

古谷 剛司 | ふるや つよし

略歴
1965年 栃木県生まれ
1988年 宇都宮地方法務局入局
2016年 東京法務局総務部職員課長
2019年 民事局総務課登記情報センター室長
2021年 東京法務局民事行政部長
2022年 横浜地方法務局長
2023年 高松法務局長

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