「社長の顔が見える」で安心を

綾川葬祭 代表取締役 伊藤 雄介さん

Interview

2021.03.18

四国内で所有しているのは綾川葬祭だけというリムジン型霊柩車。 運転手のほかに4人乗車できる

四国内で所有しているのは綾川葬祭だけというリムジン型霊柩車。
運転手のほかに4人乗車できる

葬儀業では以前から葬儀の簡素化・小規模化の傾向があり、それがコロナ禍でさらに加速したという。通夜・告別式を行わず、納棺後すぐ火葬する「直葬」という言葉も聞くようになった。

綾川葬祭の代表取締役・伊藤雄介さん(37)は「故人を盛大に送り出したい、なるべく費用を抑えたいなど、お客様の様々なご要望に応えていきたい」と話す。

2006年の大学卒業後、香川県警察に入り交番勤務を経て、要人警護や外国人による犯罪の取り締まりに携わった。葬儀場で20年間勤めた伊藤さんの父が、08年に綾川葬祭を創業。伊藤さんは12年に入社した。

入社したばかりのころ、仕事を終えて帰宅後、父から携帯電話に着信があったが、電話を取れなかったことがある。折り返し連絡をすると「なぜ出なかったのか」と言われた。人はいつ亡くなるか分からない。家族を亡くして不安な時、すぐに相談にのって寄り添える葬儀社でなければならないと、教えられた。「いずれ経営者になるという覚悟ができていなかったと反省しました。それから携帯電話は、片時も離さず持っています」

「社長の息子だから」と従業員の遠慮や特別扱いがなかったことも、伊藤さんを成長させてくれた。葬儀に関する知識を深めるため、一般社団法人 日本仏教協会が認定する「仏教葬祭アドバイザー」も取得した。

4人の従業員と1つの会館で始まった会社は今、40人が5つの会館で働くまでになり、県内に約50社ある葬儀社のなかで中堅クラスに成長。18年に社長に就任した。「会社の規模を大きくするのではなく、会長の父と私が管理できる範囲で、丁寧な仕事を続けたい」

一般的に葬儀業では「想定よりも費用がかかった」など金銭面でトラブルになることが多いという。綾川葬祭はそういった問題を防ぐため、契約する際は伊藤さんか会長が必ず立ち会うと決めている。お客さんからすると、経営者と約束したことが安心感につながる。「『社長の顔が見える葬儀社』が、綾川葬祭の特長です」
ゆったり過ごせる親族控室(綾歌町の綾歌・飯山会館)

ゆったり過ごせる親族控室(綾歌町の綾歌・飯山会館)

社長就任の直後から、綾川町内の和食料理店と喫茶店の事業を引き継ぎ、グループ会社として経営している。「柱が3本あれば、強い企業になれるのでは」。葬儀の際は和食料理店が仕出し料理を用意する。祭壇に使う生花の仕入れやアレンジメントも自社のスタッフが行う。内製化することで、お客さんにより異なるニーズに、はやく的確に応えている。

葬儀社にとって葬儀は日常的なものだが、お客さんにとっては非日常的。喪主を務めることは、人生で何度もない。その葬儀を納得いくものにできるよう、伊藤さんは心を配る。事前相談を受け付けているが、あえて「他社にも見学に行ってほしい」と伝える。「事前相談は綾川葬祭の会員になってもらうためのものではなく、お客様の心配事を解消するためのもの。スタッフの対応や会館の雰囲気、金額などを比較して判断してほしいと思っています」

鎌田 佳子

伊藤 雄介|いとう ゆうすけ

略歴
1983年 長崎県生まれ
2002年 多度津工業高校 卒業
2006年 日本体育大学 卒業
香川県警察を経て
2012年 綾川葬祭 入社
2018年 代表取締役 就任

株式会社 綾川葬祭

住所
香川県綾川町北1250‐6
代表電話番号
087・876・4775
事業内容
葬儀場(県内5カ所)の運営
地図
URL
http://www.ayagawa-sousai.co.jp/
確認日
2021.03.18

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