
高松市浜ノ町の株式会社高松駅弁は現在9種の駅弁を製造し、JR高松駅構内などで販売。駅弁は「冷めてもおいしく」を心掛け、仕出し弁当は温かいご飯を提供する。
代表取締役社長の関 優一さんは、創業から変わらぬ伝統の製法と味を守りつつ、新商品の開発にも意欲的だ。
四国の駅弁第1位

工場内は食材の搬入や焼く、揚げる、煮るといった作業がスムーズにいくよう、器具を配置。配膳室の温度は通年20℃に保たれている。季節によってばらつきがあるものの、1日に1千~5千個の弁当を出荷。
「高松駅に加えて、丸亀—観音寺間、丸亀—琴平間を走る特急列車で車内販売をしています。全国の百貨店やスーパーの駅弁フェアに出品することも」と、関さん。JR四国が企画した「第1回四国の駅弁ランキング」では、同社の「讃岐たいらぎ弁当」が1位に、「たこ飯」が4位に輝いた。
たいらぎ弁当は、瀬戸内産のタイラギ貝をぜいたくに使用。炊き込みご飯にのせた味付けの違う3枚の貝柱は、上品な味わいと歯応えが抜群。甘辛く煮た貝の「ひも」が味のアクセントに。地ダコをふんだんに使ったたこ飯は、うまみが凝縮されている。
「駅弁は県外からの観光客、ビジネス客が口にするため、『どうすれば親しんでもらえるか』を重視しています。できるだけ県内産の食材を使いたいですね」
子どもには、食べた後も水筒が使える「アンパンマン弁当」、サラリーマンには、車体をイメージした容器の「マリンライナー弁当」も人気だ。
同社では、駅弁のほか行楽や会議用、昼食弁当、催事用料理の調理、配達も行っている。
味付けはシンプルに
調味料はしょうゆ、塩、砂糖、酢、酒といった基本的なものだけを使う。これまで綿々と続いてきた、駅弁の伝統的な調理法だ。「味付けの仕方で、弁当を長持ちさせることもできます。確立された方法に小細工する必要はありません」。創業から60年余り。「昔ながら」が生きている。大量仕入れ、大量生産はしない。
「大量に仕入れた食品を詰めれば原価は抑えられる。でもそれはしたくない。一品一品手作りで、手間をかけた駅弁にしたいんです」
駅弁は常温で食べるのが一番おいしいように作る。昼食用弁当は、配達直前にご飯をよそい、温かいうちに届ける。愛される弁当の秘けつだ。
お土産に「ぴっぴ」

「こちらの味付けもシンプルですが、いくら食べても飽きのこない味です」。ぴっぴ用のうどんはもちろん、そのまま食事用にも使える。弁当工場の隣にうどん工場を設け、製麺から自社で行う。近頃は、麺の卸しも手掛ける。
「揚げぴっぴ」は四国と岡山のJRの駅、高速道路のサービスエリアなどで販売中。多いときには1日1千個を売り上げる人気商品になった。
地産尽くし弁当を
今後の目標は、食材を全て県産品でまかなう弁当を作ること。「香川県産にこだわると、食材の安定供給が課題です。課題をクリアしつつ、タイラギ貝やイイダコ、アナゴのように香川ならではの食材を発掘したいですね」。昔から変わらない「懐かしい味」と、新たな魅力が詰まったもの。県内外問わず、駅弁を楽しんでもらうために作る。
売上は、駅の利用客数に影響される。香川の観光活性も需要だ。弁当食べたさに観光客が押し寄せる。これからはそんな時代が来るかもしれない。
関 優一
株式会社 高松駅弁
- 住所
- 香川県高松市浜ノ町8-12
- 代表電話番号
- 087-851-7711
- 設立
- 1943年
- 社員数
- 63人
- 事業内容
- 駅弁の製造・販売
- 資本金
- 4500万円
- 沿革
- 1943年 高松駅弁当株式会社 設立
1963年 株式会社高松駅観光デパート 設立
1985年 高松駅弁当株式会社と株式会社高松駅観光デパートが合併し、株式会社四国観光弘業を設立
1999年 新本社、工場新築落成
株式会社高松駅弁に改称
- 地図
- URL
- http://www.jr-shikoku.co.jp/ekiben/index.htm
- 確認日
- 2011.11.17
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