原材料価格の高騰、「利益を圧迫」が72.6%
第19回香川県「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査

東京商工リサーチ

Research

2022.02.03

オミクロン株が世界的に感染拡大している。東京商工リサーチは、昨年12月1日~9日に企業アンケートを実施、県内70.8%の企業がコロナの企業活動への影響が「継続している」と回答。また、中小企業の「廃業検討率」は7.1%で、赤字累積や借入金増加による「過剰債務」の問題も浮上している。

※本調査は昨年12月1日~9日にインターネットによるアンケート調査を実施。有効回答65社を集計、分析した。資本金1億円以上を大企業、1億円未満や個人企業等を中小企業と定義した。

Q1.企業活動への影響は?

新型コロナウイルスの発生による企業活動への影響を聞いたところ、最多は「影響が継続している」で70.8%(65社中、46社)。一方、「影響が出たがすでに収束した」は6.2%(4社)にとどまった。規模別では、「影響が継続している」は大企業が60.0%(5社中、3社)に対し、中小企業は71.7%(60社中、43社)だった。

Q2.「廃業」を検討する可能性は?

廃業を検討する可能性が「ある」は6.6%(61社中、4社)、「ない」は93.4%(57社)だった。「ある」は前回調査(10月・2.3%)より4.3ポイント上昇した。規模別では、大企業で「ある」と回答した企業はなく、中小企業は7.1%(56社中、4社)だった。

Q3.借入金返済の見通しは?

借入金のある45社から回答を得た。最多は「全く問題ない」の40.0%(18社)だった。企業規模別では、「全く問題はない」は大企業が50.0%(2社中、1社)だったのに対し、中小企業は39.5%(43社中、17社)だった。中小企業の半数以上が、コロナ禍で膨らんだ借入金の返済が万全の状態でないことが浮き彫りになった。

Q4.原材料価格上昇の影響は?

原油など原材料価格の上昇による影響について聞いたところ、最多は「利益をやや圧迫している」の48.4%(62社中、30社)だった。「利益を大きく圧迫している」は24.2%(15社)で、合計72.6%の企業の利益に悪影響を及ぼしていることがわかった。規模別では、大企業の全て(5社)が「圧迫」と回答。中小企業では70.2%(57社中、40社)だった。

「廃業検討率」が悪化した。オミクロン株の世界的な感染拡大、日本国内への入国制限などで、再び企業心理が冷え込んだとみられる。「過剰債務」への対応も避けて通れない。借入金の返済について、「全く問題ない」と回答した中小企業は39.5%にとどまり、約6割が万全ではないことが、今回の調査で改めて浮き彫りになった。金融債務のリスケ(返済猶予)やデフォルトは、企業のレピュテーション(風評)に直結し、取引先の信用収縮など企業活動に大きな影響を与えかねない。

事業再構築に向けた支援策が引き続き期待されるが、その恩恵は企業全体では氷山の一角にとどまるとみられる。コロナ禍で厳しい状況に立たされた業種を念頭に、企業が前に向かって動き出す施策が急務だ。

東京商工リサーチ四国地区本部長兼高松支社長 有馬 知樹

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