知識、経験、創造力、多様性……
未来のものづくり人材を、どう育てる
香川高等専門学校 校長 田中 正夫さん
四国職業能力開発大学校 校長 梶島 岳夫さん
2024.03.07

写真左 四国職業能力開発大学校 校長 梶島 岳夫さん 右 香川高等専門学校 校長 田中 正夫さん
どのような人材の育成を目指していますか。
本科の5年間で、大学4年卒業時と同等の知識や技術を身に付けられるような密度の濃い授業を行っているという自負があります。
梶島校長(以下、梶) 入学とほぼ同時に座学と技能の実習を並行して行う点が能開大の特色で、附属校も含めて全国に23校あります。専門課程2年で基礎的な技能をしっかり身に付け、応用課程2年では異分野と連携して生産現場で展開できる力の育成を目指しています。
また、企業で活躍する人が新たな専門技能を身に付けられる社会人向けセミナーを提供している点は、能開大ならではの特徴です。
社会から求められる人材を育成するために、大切にしていることは。
田 「今までのやり方は古いから別の方法に」とシフトするだけでは変わらない。確固とした基盤技術の上に、新たな分野が広がるから産業が発展する。例えば今、データサイエンスが注目されていますが、「新しい分野として学ぶ」のではなく機械、電子、建設などの専門分野と関連付けながら自然に身に付けられるカリキュラムを組んでいます。
梶 何のためにデータサイエンスを使うのか、今学んでいる技術にどう組み合わせるか、どんな可能性が考えられるか、といった学び方をすることで、自分たちの技能を社会でどう活かすのかを意識できるのではないでしょうか。

能開大ものづくり研究発表会の様子
知識・技術だけではなくコミュニケーション力も必要、とよく言われています。
例えば、車のオートマチックトランスミッションは国によりメジャーなタイプが違う。それは環境や文化が違うから。違いに思いをはせ、多様性を知り「技術は文化の中にある」ことを様々な経験を通して実感してほしい。
梶 学生時代の専門の殻に閉じこもっていたのではこれからの時代は対応できない。能開大の応用課程には、機械・電気・電子情報の3系共同で企業の課題解決に取り組むカリキュラムがありますが、違う分野を専門とする仲間とどうコミュニケーションすべきか、失敗を恐れず試行錯誤しながら考えてほしいと思います。
田 香川高専にも企業の課題をテーマに研究する授業があります。自分たちの意図を伝える、相手の考えを理解する力は、現場でしか身に付かないと思います。

香川高専起業家工房での学生活動
未来のものづくり人材に向けて
田 社会では結果への責任が大きくなり、失敗が気になりチャレンジしづらくなる。学生のうちは何でもまずやってみる。そこでの小さな失敗、経験は貴重な財産になると思います。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構香川支部 四国職業能力開発大学校(四国ポリテクカレッジ)
- 所在地
- 丸亀市郡家町3202
TEL:0877-24-6290/FAX:0877-24-6291 - 専門課程(2年)
- 生産技術科
電子情報技術科
電気エネルギー制御科
住居環境科 - 応用課程(2年)
- 生産機械システム技術科
生産電子情報システム技術科
生産電気システム技術科 - 地図
- 確認日
- 2018.01.04
香川高等専門学校
- 住所
- 香川県高松市勅使町355
- 代表電話番号
- 087-869-3811
- 設立
- 昭和18年
- キャンパス
- 高松キャンパス
〒761-8058 香川県高松市勅使町355 TEL087-869-3811/FAX087-869-3819
詫間キャンパス
〒769-1192 香川県三豊市詫間町香田551 TEL0875-83-8506/FAX0875-83-6389 - 地図
- URL
- https://www.kagawa-nct.ac.jp/
- 確認日
- 2024.03.07
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