切削工具の寿命を“見える化”する 実験の成果を発表

葵機工×四国職業能力開発大学校 連携プロジェクト《Vol.3》

News

2024.03.07

葵機工の技術者と意見交換

葵機工の技術者と意見交換

「切削工具の寿命を見える化する」ことで、交換時期の予測管理や無人化を進めるため、葵機工と四国職業能力開発大学校が産学連携してプロジェクトを進めている。2月に能開大で開催された「ものづくり研究発表会」では、その実験の成果が発表された。

これまでの取り組み

精密部品の加工を行う「葵機工」では、業界でもいち早くデジタル化や夜間に自動加工できる体制づくりを進めてきた。その中で、特に無人の間の工具破損を防ぐため一般的な工具寿命の7割程度しか使用せず切削工具を取り替えていた。ただ、現在の取り替えタイミングが本当に適切かデータで裏付けして見える化できないか、データを活かして生産効率向上につなげたい、ということがプロジェクトのスタートだった。
これまでのプロジェクトの詳細は、こちらから《vol.1》《vol.2》

実験装置を完成させ、本格的に実験開始

課題に対して、能開大の機械、電気、電子情報の3系がチームとなり実験のための装置を制作。「経験値による寿命」だけではなく、「製品に影響が出る」状態が寿命と定義し、製品に影響が出るほどの磨耗の“サイン”はどこにどう表れるのか。それを導き出すにはどういう装置をつくり、どのような実験をすべきかについて、葵機工の技術者とも議論を交わしながら制作を進めた。

試行錯誤の末に完成した装置は、誤差が出る手動ではなく自動で切削加工ができ、振動などの影響を極力受けないよう設計。新品の切削工具を使い長時間連続で加工しながら、磨耗の状態、電流、熱量……といった多数の条件を測定できる装置に仕上げた。
制作した実験用装置

制作した実験用装置

実験の経過を発表会で披露

ものづくり研究発表会では、装置や実験内容について説明。磨耗との関係が高いと考えられる要素がいくつか見つかったことなどを紹介した。

発表会を聞いた葵機工・生産技術課課長の山下和也さんは、「例えば磨耗が進むとこうなるはずだ、という理論上の話と実際のデータを照らし合わせながらなぜそうなるか、実験方法は正しいか、一つひとつ確認しながら進んでいくことが大切」とアドバイス。また「複数のデータとの関連性も分析が必要になる」とも話す。
ものづくり研究発表会の様子

ものづくり研究発表会の様子

プロジェクトを通して

今回の活動を通して、学生たちには様々な気づきや学びがあったという。機械系の筒井政汰さんは「終わりの見えない課題を研究し続けていくことが本当に大変だと思った。今後はデータ分析を深く進めていきたい」と話す。

電気系の小泉裕暉さんは「専門分野が違う人と共同で実験する中で、ほしい情報がすれ違うこともあった。コミュニケーション力の必要性を痛感した」と、また、電子情報系の池尻侑人さんは「他分野のことも勉強しないとプロジェクトが進まない。社会での仕事も専門分野だけで完結するわけじゃないと気づいた」と振り返る。

課題を依頼した葵機工・山下課長は「短い期間で成果が出るテーマではないことは分かっていましたが、実験結果から現場に活かせるヒントがあればという思いです。今回の経験を通して学生たちが他分野を知り、気づきや学びを得ること、それがものづくり人材の育成につながってほしいという思いもありました」と未来の技術者を見守る。
プロジェクトのメンバー

プロジェクトのメンバー

葵機工株式会社

住所
香川県高松市朝日町3丁目7番5号
代表電話番号
087-822-5025
設立
1972年3月
事業内容
・インフレーター、ガスジェネレーター部品
・ガス、油圧バルブ 他
・頭脳モーター部品
・半導体装置部品
・SUS、コバール、ベリリウム、バイタリウム 等、難削材の切削
・設計、加工、組立
地図
URL
https://www.aoikikou.co.jp
確認日
2023.09.21

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構香川支部 四国職業能力開発大学校(四国ポリテクカレッジ)

所在地
丸亀市郡家町3202
TEL:0877-24-6290/FAX:0877-24-6291
専門課程(2年)
生産技術科
電子情報技術科
電気エネルギー制御科
住居環境科
応用課程(2年)
生産機械システム技術科
生産電子情報システム技術科
生産電気システム技術科
地図
確認日
2018.01.04

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