最高品質のコーヒー豆の生産者とお客様を繋ぐパイプ役になりたい

アロバ― 焙煎人(代表取締役社長)梶 聡一朗さん

Interview

2010.08.19

リラックスしたい、ゆったりとした時間を過ごしたい時、気持ちを和ませてくれる・・・・・・

コーヒー好きの人は多い。コロンビア、ブルマン、モカ。コーヒー豆にこだわりを持つ人も多い。しかし、このコーヒー豆がどのような場所で、どのような人たちの手によって栽培されているのか知っている人は少ない。

「お米と同じです。一口に日本米と言っても品種や産地、それに手の掛け方によって全然味が違う。コーヒー豆も同じなのに産地が遠いというだけで一括りになっている。豆本来の味と、これを作っている人々の努力を伝えていく事が使命だと思っています」。株式会社アロバーの「焙煎人」梶聡一朗さんは語った。

カフェではなくコーヒー豆専門店です

住宅街の交差点を曲がり、傾斜の緩い坂の途中に「アロバー」はある。大きな窓から差し込む光は店内を明るく照らし、邪魔にならない程度の音量でジャズが流れる。心和む雰囲気の中、自家焙煎のコーヒーを飲むことができる。

ただ、ここはカフェではなくコーヒー豆の専門店だ。

「敷居が高いと感じる専門店のイメージを払拭しようと思ったんです。おいしいコーヒーを飲んでもらって、豆に興味を持ってもらいたいんです」というのが梶さんの狙いだ。

コーヒーが嫌いでした

アロバーは梶さんの父親誠史さんが脱サラして創業した。しかし、誠史さんが半年で他界。跡を継いだ母親早苗さんの手伝いを始めたのがコーヒー豆と向き合うきっかけだった。梶さんが中学3年の時だ。

「コーヒーは嫌いでしたね。好きなテレビを見たい時に、コーヒーを煎れなきゃいけなくて・・・」

しかし、母親が入院した事によって状況が変わる。母親に代わって「焙煎」しなければならなくなった。何も知識のなかった梶さんはメーカーの人に指導を受け、病室にまで持ち込んで母親に味を確認してもらった。

そうするうちに・・・・・・

「だんだん焙煎が面白くなっていったんですよね」

そして、6年前。会社を継ごうと決めた。

ただ・・・・・・

「最初は商売だったんですよ。ポップとかチラシとか作って商品が売れるとうれしくなって、商売は面白いって・・・・・・」と梶さんは当時を振り返る。

「焙煎人」とは・・・・・・

転機はその直後にやってきた。2004年、自家焙煎の専門店仲間とブラジルのコーヒー農園を訪れた時だった。自分たちが扱っている商品が作られている様子を初めて見た。コーヒー豆をどれほど知らなかったかを知った。

「栽培されている環境、栽培農家の想いを知り、これを日本に伝えたい。伝えるべきだと思ったんですよ」と梶さんは話す。

でも・・・・・・

「くつろぎたいと思ってコーヒーを飲んでる人に、『栽培農家の大変さを知って下さい』と言うのは重いですよね」

だから、「焙煎人」。梶さんは自分の事を「焙煎人」という。名刺にも「焙煎人」と書く。

「焙煎人って?」。みんなが興味を持つ。

「そうすることで、細心の注意を払いながらじっくり豆を煎る話から、コーヒー豆の栽培の話まで自然に聞いてもらえるんです」と梶さんは話す。

生産者と消費者を結ぶ

梶さんは同じ想いの専門店でグループを作り、毎年コーヒー豆の買い付けに中南米を訪れる。ニカラグアで6農園の他、エルサルバドル、ブラジルにも契約農家がある。生産者の育成方法や収穫方法に対する努力とその価値を知ることで信頼関係が生まれ、より品質の高い豆を仕入れる事ができる。

同じコーヒー豆でも品質と量はピラミッド型になっている。それなりのものは大量にあるが、品質が上がれば上がるほどその量は少なくなる。

「スペシャルティーコーヒー」は、そのピラミッドの頂点から5%という最高品質のもの。誰が飲んでも率直においしいと思うものであり、そのトレーサビリティー、生産者の顔の見えるコーヒーの事だそうだ。

お客様にスペシャルティーコーヒーを知ってもらうことは、生産者を知ってもらうことである。アロバーはその橋渡しを目指している。栽培農家が大切に育てた豆を、店舗横の作業場で宝物でも扱うように焙煎する。

「産地が遠いだけに実感してもらうには時間がかかるかも知れません。ただ、お客様がおいしいと喜ぶ顔を見た時は生産者と消費者が繋がったと感じるんです。地道にやっていきますよ」と「焙煎人」梶さんは笑った。

スペシャルティーコーヒー

アロバーには「焙煎人」梶さんがニカラグアやエルサルバドル、そしてブラジルを訪れ直接買い入れした、焙煎コーヒー豆が並ぶ。生産者の「顔の見える」スペシャルティーコーヒーだ。

梶 聡一朗

コーヒービーンズショップ アロバ―

住所
香川県高松市国分寺町新名1225-5
代表電話番号
087-874-5700
設立
1991年
社員数
7人
事業内容
コーヒー豆の買付け・販売・店舗運営
沿革
1991年 国分寺町にて創業・開店
1993年 高松市・鍛冶屋町店出店
1998年 鍛冶屋町店を松縄町へ移転
    本店・国分寺店オープン
資本金
1000万円
地図
URL
http://www.arovor.com/
確認日
2010.08.19

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