食で地域に彩を

JIJIキッチン 代表取締役 前川 公秀さん

Interview

2021.03.04

新型コロナの影響で外出・外食が控えられ、サービス業や飲食業が苦しい局面を迎えている中、新たな挑戦を始めた飲食店がある。

今年1月16日、三豊市高瀬町にテイクアウト専門店「JIJIキッチン」がオープンした。運営するのは、前川公秀さん(47)が代表を務める有限会社サムタイムだ。注文を受けてから作るお弁当のほか、地元食材を使ったオリジナルのお惣菜や冷凍食品、近隣のお店から取り寄せた食材やデザートなどを販売している。11時の開店と同時に多くのお客さんが訪れ、お弁当を注文する電話も絶え間なくかかってくる。

前川さんは2003年に観音寺市で「IZAKAYA 時々(ジジ)」を始めた。現在、観音寺本店に加えて、高瀬店(三豊市)と三島店(四国中央市)、台湾で炉端焼き店を経営している。19年に社内独立制度を設けて後進となる経営者を育てようとした矢先、コロナ禍が直撃。これまでと同じような飲食店の展開は難しくなった。

サムタイムの経営企画室・岩崎浩さんは「三豊・観音寺地域にはテイクアウトできるお店が少なく、デリバリーサービスもほとんどありませんでした。家で食を楽しむ提案がしたいと考え、JIJIキッチンの開店に至りました」と振り返る。お店に来たついでに持ち帰りができるのではなく、あえてテイクアウト専門店にした。

20年12月からテストラン。お惣菜の仕込みやスムーズなお弁当の提供、レジでの応対など居酒屋の運営とは勝手が違った。ニーズを把握するために1カ月の時間を取り、21年1月に正式オープンした。

お弁当は豪華な彩り膳(前日までに要予約)、日替わりやハンバーグ、チキン南蛮など10種類ほど用意。観音寺市の焼肉店・レストハウスしのはらのお肉を使った10食限定のハラミ重といった、地元のお店と協力して作るお弁当もある。

「時々」の人気メニューを冷凍食品にして販売もしている。「飽きのこないよう季節感やイベントをからめたメニューを提供しています。ここに来たら何かある、何かいいよねと感じてもらえるお店にしたい」と岩崎さん。厨房にはフレンチとエスニックの料理人がおり、これまでに培った居酒屋のノウハウを生かしつつ、JIJIキッチンオリジナルのものを出していく。

お弁当やお惣菜・冷凍食品以外で人気の自社製品は、野菜チップス。「時々」で提供している「パリパリサラダ」という人気料理があり、そのメニューに使うチップスだけがほしいという要望が多かった。三豊・観音寺でとれる野菜で作っており、様々な野菜でシリーズ化したいと考えている。

地元の野菜や果物をたくさん食べてほしいとの思いもあり、三豊市の果樹園・アンファームとまるく農園のドライフルーツやジャムも販売。三豊市が栽培に力を入れている薬草を販売する薬膳コーナーも店内に設けている。サムタイムは、観音寺信用金庫が中心となって地元食品事業者と組織する「どっかんおんじ!観音寺を盛り上げ隊」に参加しており「どっかんおんじ」メンバーの商品も販売している。

前川さんは「居酒屋の売上は、コロナ以前には戻らないでしょう。飲食店は形態を変えて料理を提供していくようになる」と考えており、「三豊・観音寺を中心においしいものと良いものを、JIJIキッチンに少しずつ増やしていきたい」という。

鎌田 佳子

前川 公秀|まえかわ きみひで

略歴
1973年 現・三豊市生まれ
2003年 有限会社サムタイム 創業

JIJIキッチン(有限会社サムタイム)

住所
香川県三豊市高瀬町比地1805-1
代表電話番号
0875・24・9077
事業内容
お弁当、お惣菜、冷凍食品の製造・販売
地図
URL
https://www.izakaya-jiji.co.jp
確認日
2021.03.04

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