さまざまな楽しみ方があるF1レース観戦 派手さの中に隠された、その魅力は・・・・・・

日本航空インターナショナル高松支店 支店長 中野 知明さん

Interview

2010.08.19

6月末に日本航空インターナショナル高松支店長に着任した中野知明さん。初めての地方転勤で、しかも単身赴任となる今回、引っ越し作業のために手伝いに来ていた妻の美夕紀さんには、昼にはさぬきうどん、夜は骨付き鶏で労をねぎらったのだとか。「まず昼はうどんですこぶる上機嫌になり、夜に鶏を食べ終わったころには早くも高松の大ファンになったようですよ」。中野さんの高松での暮らし、どうやら順調に始まったようだ。

エンジンの爆音で、F1開眼

大学時代にはテニスなどのスポーツに取り組んでいた中野さんが興味を持っているのが、フォーミュラ1(F1)観戦だ。といっても、楽しむようになったのはここ最近のこと。10数年前のF1人気絶頂の頃には興味は全くなかったという。「東京で法人セールスの部署にいたときに自動車メーカーさんのチケットを譲っていただく機会があって、お付き合いも兼ねて鈴鹿サーキットに行ったのが始まりなんです」

仕事柄、航空機のエンジン音には馴れている。しかし自動車レースのエンジン音=エグゾーストノイズ(exhaust noise)の爆音には違う魅力があった。思わず鳥肌が立ったという。「耳栓を持っていかないとだめだよと言われていましたが、事前には音の想像は全くつかなかった。レースで20台ほどの車がスタートしていくと、その爆音がスタンドに反響し、たまらないほどの大きさになる。私がF1にひかれたのは、その音にありますね」。中野さんのF1観戦デビューとなった2006年10月の鈴鹿の日本グランプリは、ミハエル・シューマッハがリタイヤし、フェルナンド・アロンソが勝ったレースで、「それ以来、アロンソのファンになりました」。

この興奮を子どもにも体験させたいと、これまでに上海、シンガポール、クアラルンプール、国内では富士スピードウエイで行われたレースに連れて行った。周辺地域への配慮でレース会場が郊外に造られているためにアクセスが容易でないことが多いが、一般道をコースに使い夜に行われるシンガポールの場合は、中心部が会場で、ホテルから地下鉄経由で歩いて行けるという気楽さもあり、昼間の観光も兼ねて楽しめると定評がある。「小学校6年の男の子なのですが、たちまちレースが好きになったようです。今では彼の方が詳しいくらい」

ゴールに向かい走り続けるレース。人生にもダブって見えることも・・・・・・

とはいっても、世界中のサーキットで行われるF1グランプリ観戦に、そう度々いけるものではない。レース会場で見るよりも、CSなどのテレビ番組で見るほうが圧倒的に多い。「レースは5kmくらいの長いコースを何周も走るわけですから、自分の見てる前で抜いたり抜かれたりなどの劇的な場面はほとんどない。テレビで見たほうが分かりやすく面白いのは確かです」

それでも現場の臨場感にはかなわない。見続けているうちに様々なことを考えさせられる。レースは、運転の技術だけでは決まらないこともある。エンジンの性能を始め、さまざまな要因が順位を左右する。「50周から60周走るわけです。トップを走っていても、不意にエンジントラブルが起こることもある。クラッシュだってあるかもしれない。後ろの順位で走っていてもただひたすらがんばって50周するうちに、何かに恵まれる可能性はあるんです。大げさかも知れないですが、なんだか人生にもリンクするなあと思うんですよね」。地道に走っていても報われないことの方が多い。しかし、成功したとすればそれは地道に走っていたから。たとえ結果が出なくても次のレースでは、成功を信じて同じことを繰り返しがんばる。それは仕事への取り組み方や生き方を考える上でも、勇気づけられることと言う。

また反対に秒速で速さを競う自動車レースを見ながら、自分自身の仕事について考え、向き合うことも。「お客様のため、ベストの仕事をすることは当然ですが、それが自己満足で終わっていてはだめなんですね。私たちの目指す仕事とは、お客様一人ひとりに満足していただけるサービスを心がけること。期待度や満足度はお客様それぞれ違います。一人ひとりのお客様が求められているものは何か、プロとして仕事に臨んでいきたいですね」。F1レース観戦は、楽しみはもちろんのこと、様々な思いを喚起させるようだ。

中野 知明 | なかの ともあき

略歴
1964年 10月 東京都出身
1988年 慶應義塾大学商学部 卒業
    日本航空(株) 入社
    成田空港支店、客室乗員部、レベニュー
    マネジメント部、東京支店国際旅客販売部
    法人販売グループ、流通販売グループ
    マネージャー、機内サービスサポート部
    業務グループ長、客室教育訓練室サービス訓練
    グループ長などを経て
2010年 6月 高松支店長
写真
中野 知明 | なかの ともあき

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