休日は歴史研究 いつかは本の執筆を

高松空港ビル 取締役 市尾 伸さん

Interview

2013.11.07

「香川は、うどん県や瀬戸内国際芸術祭などPRがうまいと思いますね。空港ビルもアート県の名にふさわしく、おしゃれな建物です。成田線就航で、さらににぎやかになるでしょうね」。市尾さんは全日本空輸株式会社(ANA)からの出向で、高松空港ビル株式会社の取締役を務めている。

3つにまとめる企画力

ANA入社当時、定期便を運航していたのは国内線のみ。国際定期便への参入を目指して、アジア各地へチャーター便を運航していたころだった。新人はハンドリング業務を学ぶため、各地へ飛んだ。市尾さんも例にもれず海外へ。その後は、企画の仕事に携わることが多くなった。

25年前、本社企画部で低コスト航空会社を設立。外国人の乗務員を雇用し、日本各地からアジアへの単純往復で、機材の高稼働を図るものだった。「今思えば、LCCの走りです。時代の先を行き過ぎていたのか、事業は5年で休止。現在のLCC各社の活躍を見ると、感慨深いものがあります」

2007年には、那覇空港に大規模な貨物の運航拠点を新設するプロジェクトを担当。那覇に貨物を集約、専用機を導入して国際貨物運航を行うための施設だ。毎週沖縄に通い、更地に巨大な貨物倉庫ができていく様子を間近に見た。3年後、完成を迎えたときは感動を覚えた。

企画書や資料づくりにはこだわりがある。それは、何かを紹介したり、理由を述べたりするときに、3つにまとめることだ。「2つは少ないし、4つでは多い。3つはインパクトがあって覚えやすい。中学生が読んでも理解できる、そんな分かりやすい文書を心掛けています」。

賢者は歴史に学ぶ

休日は、読書や博物館の見学などでアジアの歴史に触れる。趣味というよりも研究の域だ。「日本で近代国家が成立した過程に興味があります。調べるうちに、アジア各国との関係まで広がりました」

好きな言葉は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。歴史には戦争が付きものだ。これまで中国や韓国、シンガポール、ベトナムなどの歴史博物館を訪れた。香川では早速、乃木館(陸上自衛隊善通寺駐屯地資料館)へ行った。「歴史博物館には、その国の歴史への考え方や国家としての価値観が集約されています。歴史を知ることは国民性を理解することでもあり、部下にも海外出張の際には博物館を訪れるよう勧めてきました。これまでの研究を、いつかは本にまとめてみたいですね」

部下の自主性を尊重

「ビジネス客をいかに取り込めるかが大切。ANAやさまざまな企業で経験してきたことを、少しでも伝えられたら」。出向者としていつも頭にあるのは、「できる限り、部下の自主性や判断を優先する」こと。「私が主導して業務を行うことは、会社や社員のためにはなりません。口出しや手出しをし過ぎずに、若手の育成に努めたいですね」

市尾 伸 | いちお しん

略歴
1958年2月28日 徳島県生まれ
1980年3月 上智大学経済学部 卒業
1980年4月 全日本空輸株式会社(ANA)入社
2002年4月 定期航空協会事務局 企画広報部長
2004年4月 北海道国際航空株式会社 企画部長
2005年7月 ANA整備本部機装センター管理室長
2007年4月 ANA貨物本部事業戦略部長
2010年4月 インターナショナルカーゴサービス株式会社
       専務取締役
2013年6月 高松空港ビル株式会社 取締役

高松空港ビル株式会社

所在地
高松市香南町岡1312番地7
TEL:087-835-8100
FAX:087-835-8104
設立
1987年8月
資本金
15億円
従業員数
24名(2013年7月現在)
事業内容
空港ビル等に付帯する施設・設備・器具の賃貸業、
空港見学者用施設の経営 など
株主
香川県、高松市、全日本空輸、日本航空 他
確認日
2018.01.04

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