父の国の高校生活が教えてくれた 「リーダーシップ」

ZEPHYROS CEO ジュン・ペイジさん

Interview

2013.11.07

日本の中学校では、成績のいい人が級長に選ばれた。15歳で父の国、ニュージーランドの全寮制高校、キングスカレッジに入学して人生の方向が決まった。

全校生800人が参加する2週間の野外研修で、75人が生活する学生寮の寮長に選ばれた。級友たちをまとめる能力がないと優等生でもリーダーになれなかった。日本の学校とはまるっきり違った、リーダーシップ評価の奥深さに興味を持った。

リーダーシップとは、人びとのこころざしを高め実力を発揮させること。リーダーとは、仕事が達成されたとき、人びとを「これは自分たちでやった」と思わせ、存在を気づかせない人のことだ。

ドラッカーと老子の教えを柱に据えて、(株)ZEPHYROS(ゼフロス)CEOのジュン・ペイジさん(38)は、「リーダーシップコミュニケーション」の研修事業で世界を目指す。

CEO
最高経営責任者

経営者と向き合って

米国のペンシルベニア大学を出て、ロサンゼルスで世界4大会計監査法人の一つ、KPMGで経営コンサルタントに。同社の日本企業部コンサルティング部門開設にかかわり、後に中央大学客員教授や国際的なビジネスコンサルタント、作家として活躍する上司のジョセフ・リーさんと出会い、大企業の経営者らと向き合って鍛えられた。

企業の立て直しが得意だった。KPMGの巨大なバックグラウンドとグローバルなネットワークがあったから、やれた仕事だった。しかし反省もあった。

上司として部下に接する時、シニアコンサルタントの権限だけでは本当に知りたい情報は上がって来ないことを経験した。

6年前、父のグレイアム・ペイジさんが重い病気を患って帰国した。

KPMG
本部をオランダに置き、世界148カ国にグローバルネットワークがある

本音を社長に言えますか?

父が、母・純江さんの出身地、高松で創業した会社を継いだ。ゼフロスには、企業にビジネス英語を教えるランゲージハウスと人材育成研修のEAD、2つの部門がある。ペイジさんが、力を注いでいるのはEAD部門だ。

日本ではまだ珍しい体験型学習を取り入れたリーダーシップトレーニングに、KPMGで上司だったリーさんと共同で取り組んでいる。

社長になったとき、「僕はオープンだから部下の話は何でも聞く」と秘書に言った。「そう思っているのはご本人だけです。社員の誰が本音を社長に言えますか?」と返されて、気付いた。

「多くのボスは自分の権限にどれだけパワーがあるのかを知らないから、部下は何でも話してくれると錯覚する訳です」

今は一人のカリスマトップが会社を引っ張る時代ではない。求められているスキルは、自由に意見を言える健全な環境づくりと、社員一人ひとりからより経営的に正しい判断を引き出すための「リーダーシップコミュニケーション」なのだ。

体験型トレーニングで行動が変わる

そのためにどうやって人の行動を変えるのか。一番いい方法は説得や説教や精神論ではない。体で覚えさせるのだ。

体験して初めて「あ、なるほどそうだな」と気付く。「面白そうだからやってみよう」と、態度と行動が変わる。

研修ではある体験を通じ、最終的にはあたかも自分がもともと知っていたかのように感じてもらい、その結果、自分の行動を変えてもらう。

まだ日本には、この手の「リーダーシップトレーニング」をやる競争相手が、外資系の外にない。だから、大きなチャンスがあると思っている。

気まずいことを議論できる環境を

EADの体験型トレーニングは、役割演技法(ロールプレーイング)で行う。現実の場面を想定して、それぞれ役を演じ、実際に起こったときに対応できるようにする方法だ。

トレーニングが終わった後、お互いに結果を評価させる。だが、日本人は、気まずいことをきちんと議論するのが苦手だと指摘する。

米国海軍アクロバット飛行隊のブルーエンゼルスは、操縦技術に定評がある。航空ショーの反省会では、上官のミスを部下がはっきり指摘するという。

「少佐が大佐に、『練習の時より10センチ近すぎた』と言えることが、高度な飛行技術を発揮できる理由のひとつです」。高い目標を実現するには、仲間の厳しい評価を受け入れることができる健全な環境が必要だ。

率直なフィードバックが、ざっくばらんにできるカルチャーであればあるほど、より良い人材が育つとペイジさんはいう。そんな反省会になると研修は成功だ。

日本にもあったリーダーシップスタイル

米国企業は、なかなか変われないんです。日本の会社の方が変革しやすいんです」

もしかしたら、リーダーシップの概念は、かつて日本で美徳とされた、私心を捨てて公のために尽くす「滅私奉公」に似ているようにも見える。

「そんな言葉を聞いたことがない世代なのに、すごく変わるんです。あたかも遺伝子にすり込まれていたかのように・・・・・・」

世界の共通点を見つける能力

ゼフロスは、企業のグローバルビジネスマンに英語を教え、リーダーシップを研修する人材育成の会社だ。

グローバルビジネスマンとは、英語が話せる人のことだと思いがちだが、大きな勘違いだ。世界の国々から共通点を探し出せる人のことだという。

「大事なのは、違いではなくて共通点です。世界の人たちはどんな共通点を持っているか、見つけられる人です」

リーダーシップ研修の目的は、「行動の変革」だ。「単に文化の違いを見つけただけでは、部下たちの行動の変革にはつながらない」。ペイジさんは力を込めて断言する。

◆写真撮影 フォトグラファー 太田 亮

ジュン・ペイジ

1975年 神戸市生まれ
小・中学校まで高松市で育ち、ニュージーランドのキングスカレッジ、米国のペンシルべニア大学を卒業。
米国の会計監査法人「KPMG」勤務を経て、2009年に株式会社ZEPHYROS社長就任
写真
ジュン・ペイジ

株式会社 ZEPHYROS(旧商号 株式会社ランゲージハウス)

所在地
高松市瓦町2-3−2
TEL:087-834-3322
FAX:087-834-3389
設立
1976年
資本金
1000万円
代表取締役
ジュン・ペイジ
創業者
グレイアム・ペイジ
社員数
35名
事業内容
ビジネススキルトレーニング及びセミナーの開催、
外国語のレッスン及び翻訳
確認日
2018.01.04

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