遊び心を持って挑戦を楽しみたい

アサヒビール株式会社 東四国支社 支社長 太田 勝之さん

Interview

2022.12.15

実家が酒類の卸売業で、早くから業界に興味を持っていた。1996年、旭化成に入社。所属する酒類事業部(当時)がアサヒビールに営業譲渡された際、「お酒は人の暮らしを豊かにする」という思いから、総合酒類企業へ転換していくアサヒビールに貢献することを決意。主に大阪と東京でキャリアを重ね、今秋の東四国社長就任が初の地方都市赴任となる。

業務用営業で磨いた価値観

アサヒビールの営業部門には業務用と一般量販向けがあり、太田さんは一貫して業務用に携わってきた。思い出に残るのは2003~07年の北大阪支店時代、大阪屈指の繁華街にある大阪駅ビルで他社ビールを大規模に扱う飲食店経営者への営業活動だ。「アサヒビールの名刺を受け取ってもらえない時期が長かった。私も敢えて商品は推さず、人間関係と先方の経営課題にフォーカスした提案を徹底しました」。2年かけて深い信頼を築き、すべて自社商品に切り替えてもらえた成功体験が「すべてはお客さまのために」という今のスタンスの根底にある。

08年から、全国展開外食チェーンの本部に当たる市場開発本部で外食営業を担当。長期的・本質的・潜在的な課題の解決に重点を置き、サポートチームとともにアサヒビールが顧客にとって最高のパートナー企業に選定されるよう全力を注いだ。11年、東京統括支社中央支店で副支店長となり、人材育成にも視野を広げる。17年からは、アサヒビールのルーツでもある大阪・堺で、大阪統括支社堺支店長に。百舌鳥古墳群の世界遺産登録をサポートするなど行政と連携した地域貢献に取り組むかたわら、唎酒師やテキーラ・マエストロの資格を取得し、お酒への造詣そのものを深めていく。

今やスーパードライは日本を代表するブランドの一つとなったが、「認知度が高いからこそ商品を語る必要がある、もっと発信型の営業が必要」と考え、リニューアルを踏まえたPR強化を意識していると強調。「近年は当社のシェアの大きさに惹かれて入社する若手も多いのですが、どん底の時代を支えていただいたお客さま、そして先輩方の努力と、果敢に苦労を乗り越えるマインドがあったからこそ今がある。その歴史を共有し、チャレンジ精神を伝えていくのもテーマの一つです」

誰もがリーダーになれる組織づくりに注力

東四国支社長就任は今年9月。四国は一般消費者向けの量販市場が大きく、業務用営業を長く手掛けた太田さんにとっては新しい挑戦だ。「答えは現場にあると思い、積極的に同行して学んでいます」。長年培った業務用ノウハウもフルに生かし、こだわりの「樽生品質」を武器にメニューの共同開発などでサポート力を発揮して、飲食店と力を合わせてコロナ禍で厳しくなった消費者のニーズを満たす「感動」を打ち出していこうとしている。

組織づくりの面でも、これまで力を入れてきた若手の育成と働きやすい体制の充実を軸に、「東四国支社に必要な人材として選んでもらえたことは私の誇り。トップダウンではなく誰もがリーダーシップを発揮できる環境をつくりたい」と語る。「何かと効率重視の社会ですが、私は無駄も心のゆとりととらえ、そこから生まれるものもあると思う。余裕と無駄を楽しみながら、いろんなチャレンジを続けていきたいですね」

戸塚 愛野

太田 勝之 | おおた かつゆき

略歴
1974年 東京都生まれ
1996年 成蹊大学経済学部卒
    旭化成株式会社酒類事業部
2002年 アサヒビール株式会社に転籍
    大阪支店中央支店配属
2011年 東京統括支社 中央支店副支店長
2017年 大阪統括支社 堺支店長
2019年 同 北支店長
2022年 東四国支社長

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