無垢材の家具と 「ギャッベ」で生活を楽しく

株式会社すぎむら 代表取締役 杉村 高志さん

Interview

2013.11.07

ショールームに一歩足を踏み入れると、木の香りに包まれる。クルミやナラ、タモ、トチなど一枚板のテーブルがいくつも並ぶ。2階に上がれば、色彩豊かなじゅうたんが迎えてくれる。店内の商品は全て一点ものだ。

手作り家具工房すぎむらは、今年7月に法人化。株式会社すぎむらの設立に伴い、杉村高志さん(32)が代表取締役となった。元々は1978年に、杉村さんの父が家具の卸問屋として創業した個人商店。座卓や和茶棚を専門店に卸していた。

店は13年前に転機を迎えた。父が体調を崩したことをきっかけに、杉村さんは大学を中退して帰郷。家業を手伝い始めた。「何の覚悟もないまま、とにかく帰ってきました。経営状況はあまり良くなく、必死に家具を売りましたね」

専門的な家具の卸だけでは、売り上げは限られてしまう。そこで、扱う家具の路線を変え、洋室に合うテーブルやソファなどの取り扱いを始めた。木材を使った手作り家具にも挑戦。「知識も経験もありませんでしたから、ひたすら営業です」。家具を作り、トラックに載せ、全国の家具店を回る。売れたら香川に戻り、また家具を作る。その繰り返しだった。
営業活動は、歓迎されることばかりでなく悔しい思いもしたが、うれしい出合いもあった。それが「ギャッべ」だ。すぎむらの手作り家具に合うじゅうたんは、これだと直感した。

ギャッべは、イランに住む遊牧民・カシュガイ族が織るじゅうたん。砂漠近くの寒暖の差が激しい土地に住む彼らが、快適に過ごすため昔から作り続けてきたものだ。

素材は草木染めにしたウール。肌触りが良く、はっ水効果もある。「ペルシャ結び」と呼ばれる、毛足の長い織り方が特徴だ。「他にはない色遣いとデザインに引き込まれました。丈夫で何十年経っても色あせないんですよ」

イランの広大な風景を再現したものや、羊や子どもなど「富」「子孫繁栄」といった意味の込められた文様を織り込んだものなど、デザインは豊富。サイズが大きいギャッべは、数年かけて作られることもある。

年に1度は、杉村さん自らイランへ買い付けに行く。今年は約千点を仕入れた。「現地に信頼できる知人もでき、イランでの滞在を心地良く感じられるようになりました」

毎年開催しているギャッべ展示即売会は、今回で7回目を迎える。今年は11月6日から17日まで開催。座布団サイズから6畳サイズまで、約800点を展示している。杉村さんこだわりの木製家具との相性は抜群だ。

「安くはない商品なので品質はもちろん、すぎむらに対する信頼があって、はじめて買ってもらえると思います。いろいろな情報が提供できるよう、さらに勉強していきたい」

テーブルやソファなど無垢材の家具は、展示品を販売するほか、オーダーメードも可能。好みのギャッべと一緒に購入する人も少なくない。

「売り上げを伸ばすことも大事ですが、社員が仕事を通して成長できる企業にしたいと思っています。『すぎむらで働きたい』と言ってもらえるようになればうれしいですね」

一枚板のテーブルやギャッべの魅力を語る杉村さんの熱っぽさが、顧客の信用を勝ち得ているのだろう。

「使えば生活が楽しくなる。それがうちの家具の強みですね」

杉村 高志 | すぎむら たかし

1980年12月12日 観音寺市生まれ
1998年3月 観音寺中央高校 卒業
2000年4月 漆樹彩館すぎむら 入社
2013年7月 株式会社すぎむら 設立
写真
杉村 高志 | すぎむら たかし

株式会社すぎむら

所在地
観音寺市原町19番地1
TEL
0875-27-8874
事業内容
手作り家具製造販売、ペルシャじゅうたん輸入販売
全国提携店での家具・じゅうたんの卸
URL
http://www.sugimura.info/
確認日
2018.01.04

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