転勤16回「よそ者」だから分かること

高松空港ビル 取締役 大久保 良市さん

Interview

2013.10.03

今回で16回目の転勤。日本航空株式会社(JAL)からの出向で、高松空港ビル株式会社の取締役を務める大久保さん。JAL入社以来、国内外で2~3年に一度の転勤を経験してきた。「行く先々、その土地のことが好きになるんです。高松は6月に来たばかりですが、とても魅力的な場所だと感じています」

ハワイで感じた心地よさ

20代でパリ支店、アルジェリアでの勤務を経験した。アルジェリアには支店がなく、現地の航空会社に駐在。日本人はたった一人だった。石油プラントで働く日本企業の駐在員のための、航空券手配などに携わった。その後、ロンドンでも勤務。

2009年、ハワイ・ホノルル支店長に就任し、10年にJALが経営破たん。徹底的なコスト削減が実施され、海外支店が発行していたガイドブックの制作が中止となった。「ハワイには情報誌が必要だと考えました。広告料で制作費をまかない、現地の出版社に協力を仰ぎ、ホノルル支店オリジナルの機内誌を作りました」

ゆかりのある経済人に、ハワイの魅力を語ってもらうコーナーを設け、ローソンの新浪剛史CEOや、ベネッセホールディングスの福武總一郎取締役会長などを取材。2年半で10冊を発行した。機内誌の制作は現在も引き継がれている。

ハワイ滞在中に最も感動したのは、人々が持つ「アロハ」の心。単なるあいさつではなく、アロハという言葉に、思いやりや愛情、寛容などいろいろな意味が込められていると知った。日本人が忘れてしまったものを大切にしているのだと感じた。

強くそう思ったのは、東日本大震災の発生後。日系人が多いためか「日本人は家族だ」と、ハワイ日米協会のもとに合計で10億円もの義援金が寄せられた。大久保さんの発案で、被災地の子どもをハワイに招待する「レインボー・フォー・ジャパンキッズ」というプロジェクトを開始。地元の多大な協力が得られた。

四国の魅力を発信したい

ハワイ勤務時代にマラソンを始めた。ホノルルマラソンに4回出場。定期的に10キロのジョギングをすることが目標で、今は県庁や高松港周辺を走っている。「海を眺めながら走るのは、気持ちいいですね。『よそ者』だからこそ分かることがあると思います。瀬戸内国際芸術祭は海外でも知られていますし、海と島々は素晴らしい素材です」

12月には高松・成田間の路線が就航予定で、海外につながるチャンスがさらに増える。「『来てください』ばかりではなく、こちらも行くという姿勢が必要。交流することで、香川や四国はもっと元気になると思います。いろいろな仕掛けをしていきたいですね」

大久保 良市 | おおくぼ りょういち

略歴
1955年8月22日 神奈川県横浜市生まれ
1979年3月 東京大学経済学部 卒業
1979年4月 日本航空株式会社 入社
1984年4月 パリ支店(語学研修)
1984年12月 アルジェリア駐在員
1997年9月 株式会社JALPAK出向 ロンドン駐在
2001年10月 株式会社JALトラベル出向 執行役員
2004年4月 本社旅客販売業務部 部長
2005年10月 札幌支店 副支店長
2009年6月 ホノルル支店長
2013年6月 高松空港ビル株式会社出向 取締役

高松空港ビル株式会社

所在地
高松市香南町岡1312番地7
TEL:087-835-8100
FAX:087-835-8104
設立
1987年8月
資本金
15億円
従業員数
24名(2013年7月現在)
事業内容
空港ビル等に付帯する施設・設備・器具の賃貸業、
空港見学者用施設の経営 など
株主
香川県、高松市、全日本空輸、日本航空 他
確認日
2018.01.04

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