
丹生茂希さん(左)と渡部勝之さん。2人を中心に小豆島スポーテイーズが新たなスタートを切った
設立前から、熊本地震の被災地支援としてプロバスケットボールチーム「熊本ヴォルターズ」のキャンプを誘致するなどの活動を実施。土庄町の「総合型地域スポーツクラブ」(注)として発足した。現在は、島内全域に無料でスポーツを遊びとしてデリバリーする「キャラバン活動」や、いつでも好きな時に参加できるサッカー・バスケなどのスポーツ教室を運営している。
渡部さん自身の“夢中体験”は、地元の大阪で初めて見たプロバスケットボールの試合。延長の末、最後の瞬間に放たれた3ポイントシュートが決まり「大阪エヴェッサ」が2点差を逆転。「会場が揺れるような歓声と一体感。満員の観客、選手、スタッフが生み出す風景に鳥肌が立ちました。こんな場をつくる仕事がしたいと思いました」
その後、大阪エヴェッサの営業職に誘われ、勤めていた車のディーラーを退社。兵庫のプロチーム設立にも携わり、11年に経営危機に直面する高松ファイブアローズの力になれればと香川に。限られた資金の中で、ファンを巻き込みながら手作りの運営を目指すも「誇るべきチームでしたが、僕の体力と財布は限界を超えてしまった」。やりきれない思いのまま14年に小豆島へ移住した。

小豆島初のファイブアローズ公式戦
彼らのためにも無料招待を行わず会場を満員にする。その決意のもと、2人で少しずつ“前例がない”さまざまなことを町の人たちに理解してもらい、小・中学生には選手が一枚一枚手書きした招待状を届け、そのチケット代は島の大人たちやクラウドファンディングで補った。試合当日、チームカラーの黄色いTシャツで染まる会場は、渡部さんが初めて試合を見た大阪の風景と重なった。

キャラバン活動は子どもたちの発想で自由に遊ぶ
今後は、観光や住民サービスなど、アスリートによる事業展開に挑戦するスポーツカンパニーに育てたいという。「大人たちが何かに夢中になって挑戦している姿が、子どもたちの夢中のきっかけなると信じている。いつまでも誇れる小豆島に。“島やけど、世界レベル”な環境を目指します」
石川恭子
渡部 勝之さん | わたべ かつゆき
- 略歴
- 1974年 大阪生まれ
1993年 桃山学院高校 卒業
1997年 大阪学院大学法学部法律学科 卒業
「アルファロメオ」ディーラー勤務を経て
2007年 大阪エヴェッサ事業部長
2010年 兵庫(現西宮)ストークス設立メンバー(アシスタントGM)
2011年 高松(現香川)ファイブアローズ COO
2014年 小豆島に移住
2017年 小豆島スポーティーズ事務局長(土庄町嘱託職員)
2019年 一般社団法人小豆島スポーティーズ専務理事
小豆島スポーティーズ
- 住所
- 香川県小豆郡土庄町甲267-78 小豆島町総合会館内
- 代表電話番号
- 0879-62-7077
- 確認日
- 2019.07.18
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