小さくてもきらりと光る球場に

丸亀市ホームタウン推進室 室長 村尾 剛志さん

Interview

2015.06.18

丸亀市ホームタウン推進室の皆さん。後列右から2番目が村尾さん

丸亀市ホームタウン推進室の皆さん。後列右から2番目が村尾さん

「英和辞書を片手に大リーグのホームページを片っ端から見ましたよ」。こう話すのは、丸亀市ホームタウン推進室の村尾剛志さん(45)だ。市民球場完成まで、丸亀にふさわしいスタジアムとは何だろうと考えた。村尾さんはもともと技師として造園や緑化に携わってきた。学生時代に野球部だったが、仕事としてスポーツの分野に携わるのは初めてのことだった。

各地の球場を訪ねて回り、野球関係者に話を聞いた。辞書を引きながらメジャーリーグからマイナーリーグまで全270チームのホームページを閲覧し、スタジアムのつくりも調べた。「アイデアをしっかり練って、つくり手の思いがこもったものでなければ、多くの人に使ってもらえないと考えました」

規模の大きい球場なら他にいくらでもある。けれど、丸亀にふさわしいのはそういうものではないと思った。丸亀市民球場の収容人数は1万人。「小さくてもきらりと光る球場にしたい」。それが、村尾さんがたどり着いた答えだ。

選手を間近で見られるエキサイティングシートに、座席がなくバーベキューセットが置けるピクニックデッキ。パブリックビューイングや映画鑑賞にも対応出来るLEDフルカラースコアボードといった、様々な仕掛けをつくった。

昨年5月にグラウンドに芝を張った。キーパーが毎日整備しているため、いつ見ても美しい。村尾さんはその整えられたグラウンドを目の前にすると、思わず背筋が伸びる。野球経験者ならずとも、均一にならされた土と端正に刈られ青々とした芝を見ると感嘆の声を上げるだろう。足を踏み入れれば、子どもも大人も関係なく、走り回りたい衝動に駆られるかもしれない。
今年3月1日に球場はオープン。3日には「こけら落とし」としてプロ野球オープン戦・阪神タイガース対福岡ソフトバンクホークスの試合が行われた。村尾さんは完成を迎えてほっとしたということはなく、ここから始まるんだと気持ちが引き締まった。

球場のキャッチコピーは「START for MAJOR ~メジャーへの道はここから始まる~」。アメリカ大リーグを目指せということではない。メジャーという英語には、より優れた、一流のという意味がある。「高みを目指そうという励ましの言葉です。頑張る人を応援し、私たちも高みを目指したい」

一方で、野球の試合観戦や練習だけでなく、普段から気軽に使ってほしいと言う。これまでにグラウンドと屋内練習場を丸一日開放して、キャッチボールとサッカー体験、ヨガ教室などを開催した。結婚の記念写真を撮影したカップルもいる。「野球場の形をした公園だと思ってもらえれば。こういうことが出来ないかというご提案をたくさんいただき、私自身も球場の可能性に期待しています」
ホームタウン推進室は市民球場の管理・運営と利用促進の他に、スポーツホームタウン推進事業にも取り組む。県立丸亀競技場と丸亀市民球場を擁する総合運動公園を拠点に、スポーツでまちを盛り上げようというものだ。

競技場はカマタマーレ讃岐、球場は香川オリーブガイナーズのホームスタジアムになっており、両チームと協力したにぎわいづくりを進めている。両チームの情報紙を作成し、市役所のロビーやコミュニティーセンターなどに掲示。カマタマーレ讃岐のアウェーゲームに出向いて丸亀のシティーセールスを行い、誘客にも力を入れている。

「選手や競技場、球場に親しみを感じてもらいたい。そしてスポーツに挑戦することのハードルを下げ、挑戦したい子どもをサポートするのも私たちの仕事です」。メジャーへの道はここから。丸亀市民球場から延びるその道の先には何があるのか、見てみたい。

村尾 剛志 | むらお つよし

1969年12月 丸亀市生まれ
1993年3月 香川大学農学部 卒業
1993年4月 丸亀市役所入庁
      都市経済部公園緑地課 配属
2013年10月 都市整備部都市計画課 総合運動公園利活用対策室へ異動
2014年4月 生活環境部スポーツ推進課 ホームタウン推進室へ異動
2015年4月 同室 室長
写真
村尾 剛志 | むらお つよし

丸亀市生活環境部 スポーツ推進課ホームタウン推進室

所在地
丸亀市金倉町975(丸亀市民球場内)
TEL
0877-35-8200
事業の概要
スポーツ振興による地域活性化に関すること、
ホームタウン活動の推進に関すること、
丸亀市民球場の管理運営に関すること
職員
9人
確認日
2018.01.04

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