「RCEP協定」発効 企業の関心高まる

ジェトロ香川

Research

2022.03.17

15カ国が参加

「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」は2020年11月、テレビ会議形式で第4回RCEP首脳会議及び協定署名式が開催され、日本のほか、ASEAN10 カ国など 15 カ国が署名した。

今年1月に、日本、中国、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国で発効し、2月に韓国で発効。3月にはマレーシアで発効する予定で、署名国で発効していないのはインドネシア、フィリピン、ミャンマーの3カ国のみとなる。

RCEP協定は、世界のGDP、貿易総額、人口の約3割を占める大型の協定。日本の貿易額の約5割を占める地域がカバーされる。また同協定は、日本にとっては初めて中国及び韓国と締結する経済連携協定(EPA)になる。

昨年末から相談急増

日本貿易振興機構(ジェトロ)ではこのRCEP協定発効を前に、21年4月、「EPA相談窓口」を拡充。東京ではEPA専任の相談員を従前の3名から8名に増員、また北海道、仙台、名古屋、大阪、香川及び福岡のジェトロ国内拠点にそれぞれ1名ずつ新規でEPA専任の相談員を配置した。

RCEP協定に関わる相談は21年の年末から急増し、発効後の22年1~3月始めまでに受けた全EPA相談のうち約7割がRCEP協定に関する相談。またRCEP協定に関する相談のうち、半数以上が中国への輸出または中国からの輸入の相談で、特に中国について、このRCEP協定利用の関心が高まってきている。

相談の種類は、①品目分類(HSコード)に関するもの、②関税率(譲許表)に関するもの、③原産地規則に関するもの、④原産地証明手続きに関するものの4種類に大別できるが、発効前の21年12月までは、上述の①~③の協定のルールに関するものが多かったのに比べ、発効後の22年1月以降は、具体的な手続きが始まったこともあり、④原産地証明手続きに係るものが増加している。

「原産地証明ナビ」活用を

ジェトロでは、定期的にRCEP協定に関するセミナー(主にオンライン・セミナー)を開催。22年2月18日のジェトロ香川主催「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定活用促進セミナーin四国」では、経済産業省経済連携課課長補佐の戸矢通義氏が「RCEP協定の概要」と題してRCEP協定の概観について説明した。

その後、筆者が「RCEPに係る主な質問と対応策、原産地証明ナビについて」と題し講演を行い、発効後に寄せられた主な相談事例を紹介。その対応策を考えた他、ジェトロが昨年8月からウェブサイトで公開している「原産地証明ナビ」を紹介した。

これは、取引先情報や商品情報などの必要事項を入力していくだけで、貿易書類で必要となるインボイスやパッキングリストのほか、EPA適用のために必要となる対比表、計算ワークシートといった根拠資料が自動的に作成される便利なツール。https://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/navi.html(ジェトロ「原産地証明ナビ」)から簡単な登録を行えば、誰でも無料でダウンロードすることができる。

日本貿易振興機構(ジェトロ)お客様サポート部 貿易投資相談課 課長代理 石川 雅啓

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