細やかなニーズに応える生産システムを
保全技術が支える

朝日段ボール

Tec✕Tec

2024.03.21

(写真左から)製造部 野中陽次さん(坂出工業高校出身)/大川凌さん(高松中央高校出身)

(写真左から)製造部 野中陽次さん(坂出工業高校出身)/大川凌さん(高松中央高校出身)

朝日段ボールの「多品種少量生産」

人手不足の解消や生産効率の向上などを目指し、製造現場では自動化が進んでいるが、自動化の成果を上げるには最適な生産計画を立てること、設備・システムが万全に稼働するための知識やメンテナンスなどが必要となる。

朝日段ボールは、段ボールシートの成形から印刷、カット・折り曲げといった製函まで自社で一貫してできることが強みであると同時に、多品種少量生産のオーダーメイド方式で顧客のニーズに応えられるのも特徴だ。

それができるのは、数も形も印刷デザインもバラバラの数千件の受注を、どの順番、どの工程で製造すべきか瞬時にはじき出すシステムを導入しているため。その上で自動化も進めている。

この製造現場を支えているのが機器・設備の知識をもつ技術者たち。少しの異音や変化を見逃さず稼働中でも機器の設定を調整するほか、部品交換やちょっとしたメンテンスは自社で行う。機器がトラブルなく稼働してはじめて自動化の意味があると考え、保全・メンテナンスの知識やスキルを研修する機会を設けている。

機械化が進む一方で、質の高い製品に仕上げるにはやはり人の経験や技術が欠かせない。段ボールシートに「反り」が出ないよう温度・湿度の見極め、カットする刃物の劣化を抑える段ボールシートのセットの仕方など。自動化を支える技術者の力で、多様なニーズに対応している。

現在担当している業務は。

製造部 大川凌さん(高松中央高校出身)

製造部 大川凌さん(高松中央高校出身)

野中 段ボールはあらゆる分野の梱包に使われ、それでいて代替品のないものだから、業界として安定感があると感じました。今担当しているのは「貼り合わせ」、平たいシートと波型のシートを貼り合わせて1枚の段ボールをつくる、当社のものづくりで最初の工程です。作業自体は自動化していますが、紙の厚さや幅はお客様の要望によってさまざま。アイロンのように熱を加えて成形・密着させるため、厚いほど熱が必要、薄いと熱が入りすぎる恐れがあり、常にまっすぐなシートをつくるには人の手と目、そして経験が欠かせません。ここできれいに仕上げなくてはこの後の全工程に影響するため、責任のある仕事です。

大川 私も入社前は「段ボールをつくるってどういうこと?」という感じでした。今担当しているのは野中さんの部署でつくった段ボールシートに印刷・切り込みなどを施して仕上げていく「製缶」工程です。入社10年で部署内の4つの機械を経験し、手動・自動含めていろいろな作業を学びました。特に印刷は大きいハンコを押すイメージで、掠れやムラなくきれいに仕上げるには0.1ミリ単位の調整が必要。季節や天候によって条件が変わりますから、設備をこまめにメンテナンスして、できるだけ扱いやすい状態を守ります。じっくり使い込んでようやく機械のクセがつかめてきたところです。予定より先行して作業が進んだ時は達成感があります。

今後、力を入れていきたいことは。

製造部 野中陽次さん(坂出工業高校出身)

製造部 野中陽次さん(坂出工業高校出身)

野中 22年ずっと同じ部署で同じ機械を担当している私のようなケースは社内でも珍しい方で、もう少し知識を広げたいと思っています。特に自動化は順調に稼働しているからこそ意味があり、トラブルが起きると製造が停まってしまいます。もともと構造や仕組みを調べるのは好きですから、手動で動かしていた時の経験も踏まえて機械設備の知識を深め、トラブル対応ができるようになるのが目標です。

大川 私も機械設備の知識を深めるのは大きなテーマです。印刷する際のシートの積み込みや版の取りつけなど、現在自動化されていますが以前は手動だった工程は、手動で何をしていたかわかっていないといざという時に手を出せません。これまで扱った4つの機械の中では今担当しているものに一番詳しく、他の3つに関しても同じレベルまで習熟度を深めたい。もっと知識とスキルを磨き込もうと、積極的に学んでいるところです。その点で、年齢に関係なく接することができる当社の人間関係は、ベテランの先輩方に学びやすいと思います。わからないことに直面していると気軽に声をかけてくれて、とても助かるんです。

野中 部活動など自主的な社内交流が活発で、部署の枠を超えた連携が深いのは当社のいいところですね。一人ひとりの意欲や提案を後押ししてくれるから、自分から発信する姿勢があれば、いろんなことが実現できるんじゃないでしょうか。

◆キーワード


設備保全

自社の資産である設備に不具合が生じないように見守り、必要に応じて整備を行うこと。定期的に点検とメンテナンスを行う予防と、稼働効率が下がってくるなどの場合に修理や部品交換を行う事後の保全がある。保全活動のためには、異変を見逃さない現場の体制と現場の意識づけ、設備や保全についての知識やスキルが必要。活動を行うことで生産性向上、重大トラブルの防止といったメリットがある。

株式会社朝日段ボール

住所
香川県高松市国分寺町国分156-2
代表電話番号
087-874-1313
設立
創業1955年12月1日
事業内容
段ボールケース・シート、美粧段ボール、包装資材全般の製造・販売
資本金
3億2400万円
地図
URL
http://www.asahidan.co.jp/
確認日
2024.03.21

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