安全、良質な水を安定供給し
生活や産業を支え、環境にも配慮

独立行政法人 水資源機構 関西・吉野川支社 吉野川本部

Tec✕Tec

2025.11.20

ダムなどの施設管理、水資源の開発などを行う水資源機構は、24時間365日、安全で良質な水を安定して届けるという“当たり前”を、高度な管理技術で支えている。

例えば、吉野川管内で管理する早明浦ダムには、水道・農業・工業用水を安定して供給する「利水」のほか、「洪水調節」「流水の正常な機能の維持」「発電」といった目的がある。その目的を果たすため、貯水量はもちろん水質や水温、ダム施設の状態、周辺の貯水池の地すべりの監視など、日々の管理を徹底している。さらに、洪水時に備えて洪水調節容量(増水した水を貯めるための容量)を確保し、下流域の被害予測がある場合は数日前から少しずつ放流して水位を下げておく。雨が降り始めたら、変わり続ける状況を見ながら数時間後の流入量を見極め、的確に放流量を調節して被害を防ぐ。そこには、蓄積されたデータ、技術者の知識や経験が活かされる。

環境への配慮も欠かせない。例えば、下流域の生物に適した水温は季節ごとに違うため、最適な温度帯の水深から取水して放流するなどきめ細やかな管理も行う。また、近年の大規模な洪水にも対応するため「早明浦ダム再生事業」も進む。時代のニーズに応え、将来を見据えた取り組みも実施しながら、大切な社会資本を長く使うための努力を続けている。

管理の業務について教えてください。

堀田 平常時は、ダムの監視を行います。ダム施設には様々な観測機器があり、水の流入量、水質、ダムの水深ごとの水温など、数多くの項目を日々監視しています。貯水量によってダムにかかる圧力が変わると水をせき止める「堤体」の傾きも微妙に変化するため、その“ゆがみ”や、貯水池周辺に地すべりが起こっていないかも項目の一つ。すべての項目から変化をいち早く察知することが重要です。

浅井 変化や異常を察知した上で、「なぜそうなったか」という原因を突き止めることが大切です。迅速に対応するためには様々な分野の知識が必要なため、この管理所には土木をはじめ、電気・機械系の専門家も在籍していますし、吉野川上流総合管理所と密に連携を取る体制も整えています。

大変なことは何ですか。

堀田 やはり洪水時の対応です。様々なデータから雨が降り始める時期や降水量などを予測し、それをもとに水位がどれだけ上昇するか、洪水調節が必要か、その場合はどのタイミングで放流を始めるかといったことを総合的に判断します。ただ、自然が相手なので予測以上に降ることもあります。限られた時間の中で、最善の対策を行うのはいつも難しいです。

浅井 特に近年は、気候変動で予測がより難しくなっていると感じます。また、放流する際は、下流域の安全を確保することが最優先です。そのため、関係機関への連絡をはじめ、下流域に人がいないかを早明浦ダムから池田ダム上流付近まで職員が巡視して、安全を確認しています。

仕事への想い、やりがいは。

浅井 洪水調節を安全にやり遂げるのももちろん大切ですが、同時に必要な水の確保もしなければなりません。雨の降り始め、ピーク、降りやむ時と刻々と変わる状況を把握しながら放流量を調節し、最終的には貯水率100%の水位に近づけるように管理しています。洪水調節と水の確保を両立させること、そして何より、安全であることが重要。何事もなくすべてが終わった時は、ほっとします。

堀田 四国の生活を支えている早明浦ダムは、やはりみなさんの注目度が高いと感じています。決してミスはできないという緊張感はありますが、やりがいがあります。大事な仕事を任されているという自覚をもって業務にあたりたいと思います。

◆キーワード


ダムの洪水調整

大雨による洪水時に、ダムの洪水調節容量(増水した水を貯めるために確保している容量)に洪水の一部を貯めることによって、下流河川の水位上昇を抑える操作のこと。

水資源機構

住所
香川県高松市天神前10-1
代表電話番号
087-835-6600
地図
URL
https://www.water.go.jp/yoshino/kagawa/index.html
確認日
2023.11.27

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