組織づくり、人材育成で
徹底した安全・品質管理を実現

一城建設

Tec✕Tec

2025.09.15

yBK

建築

技術

人材育成

キャリア

右：工事課長渡辺一馬さん（藤井学園寒川高校出身）
左：工事課吉田太一さん（英明高校出身）

建設現場において「鳶（とび）職」は5つの区分に分かれる。例えば「足場鳶」は他の職人が安全に作業できるよう足場の設置や解体を行い、この足場を頼りに高所作業を進める。「鉄骨鳶」は高層ビルなどの建設現場で、建物の骨組みとなる鉄骨の組み立てを専門とする。ミリ単位の正確さとチームワークが求められる重要な工程だ。また、ただ足場を組む技術だけではなく、安全な環境をつくり、工事のスムーズな進行を支えるなど、他の職人のリーダー的役割を果たすため、“現場の花形”ともいわれる。

一城建設では、建設現場で重要視される「QCDSE」（品質、原価、工期、安全、環境の5要素）を基本として、安定した現場管理ができるような体制づくりや人材育成に力を入れている。鳶職には、様々な種類の仕事があり、高所・大型建築物になるほど高度な技術と安全管理のが重要になる。同社では、品質、安全など各分野の専任者を設け、徹底した管理体制を実現。それが認められ、大手ゼネコンからの依頼も多く、大型公共施設の現場にも携わっている。

その技術継承を目的に、資格取得やキャリアアップ支援にも力を入れる。現場で経験を積むとともに資格挑戦に向けて先輩が教えることも。資格取得に応じた給与体制も整えられ、建築士、土木施工管理技士、基幹技能者、鳶技能士、安全衛生推進者など、多数の資格取得者が在籍する。

今後は「技術」「安全」「管理」の力を災害復旧にも活かしたいと考えている。ガイドラインを作成し、災害時に地域に貢献できる体制と社員の意識付けにも取り組んでいる。

仕事をする上で大切なことは。

渡辺　作業する職人さんや業者さんなどを指導・監督する「職長」として現場に関わっています。どんな足場を組むかによって、安全性や職人さんの作業のしやすさも変わりますし、工期通りに進むかどうかは職長の指示にかかっています。だからこそ、建設に関わる様々な職種の人とのコミュニケーションは重要だと思います。現場全体を把握することと、先を読みながら工程を考えること、土木、安全衛生、設備工事など、様々な建築の知識も必要です。

吉田　私たちが足場を組まないと工事が始まりません。足場は、図面通りに組めばいいというわけではなく、最適な組み方や組む順番、時には職人さんの仕事の仕方も考えながら進めていきます。私は、職長になったばかりで戸惑うこともありますが、現場で学ぶことは多いです。自分を振り返ると、もう少し視野を広くして全体を見ないといけないなと思います。

面白いと感じることは。

渡辺　現場全体を見ることができるのが面白いです。建物の規模や立地によって、またその日にどんな職人さんが入ってどういう作業をするのかによって、最適な足場は変わるので、どういう足場だと仕事がしやすいか職人さんと話をしたり、現場監督とも打ち合わせをしたりしながら、こういう足場がいいのではという提案をすることもあります。

吉田　現場を円滑に進めるためにどうするか、様々な人の意見をまとめながら段取りを進めていくのは難しいです。でも、足場が全部組みあがったときはやっぱり達成感があります。建物ができあがって最後に足場を解体したときに、今までと風景が変わっているのは感慨深いです。

今後に向けて考えていることは。

吉田　現場では様々な資格が必要です。経験を積んでいずれは「とび技能士」1級に挑戦したいです。あと、人を管理するというのは結構大変なこともあるので、人間的にも成長していきたい。

渡辺　自分自身のスキルを高めるということももちろんですが、若手が高いモチベーションで頑張っていけるような環境づくりもしていきたいです。後輩の資格取得の際はサポートできればとも思っています。

◆キーワード

QCDSE

建設現場では、ただ建物を建てるだけではなく、さまざまなことに配慮が必要だ。その中で重要な要素とされるのが品質（Quality）、コスト（Cost）、工期（Delivery）、安全（Safety）、環境（Environment）。例えば、工期はITを活用して工程の共有を徹底する、安全は社員への安全教育や事故防止の仕組みづくり、環境は省エネ機器や建材を選ぶなど。すべての要素がバランスよく組み合わされることが重要となる。