常に初心に戻るものづくり、技術の継承に意欲

1962年創業、華やかなファッショングローブからトップアスリートのパフォーマンスを支えるスポーツグローブまで、高水準の技術力で幅広いニーズに応えるレガン。入社した当初の松本さんはまったくの縫製未経験だった。「周囲についていかなくてはと必死で学び、少しずつ上達して……先輩方にほめられた時のことは今もよく覚えています」。部分的な縫製を担当していた製造工場から、5年目で開発課に抜擢。「重要な部門になぜ私が？と思いましたが、真面目な態度を評価されたと後に聞きました」。

製造工場では、量産体制が確立されユーザーに直接届く製品を作る。一方、開発課は製品として世に出る前段階で、取引先とのやりとりが中心だ。松本さんの仕事は、図面をもとに裁断されたパーツを縫い合わせて仕上げる工程。デザインに合う糸選び、指先の細かい仕上がり、はき心地などを試行錯誤しながら、1つのデザインにつき複数回、顧客が納得するまでサンプルを作り込む。「毎回デザインが変わり、一つ完成したと思ったら、またすぐ初心に戻る。その繰り返しです」

手袋はアパレルの中でも細かい作業が多い。華やかでパーツが多い野球手袋、シンプルだが素肌に近いフィット感が重視されるゴルフ手袋、水をはじく特殊な素材を使う釣り手袋など、用途によって厚さや素材が異なり、難易度も違う。サンプルではクリアできたが製品化するとうまくいかない、といったケースも。「図面担当とは常に二人三脚で情報交換に努めます。ミシンは電動でも生地を操作するのは人間で、人によって得意不得意がありますから、できるだけ工場で仕事がしやすいよう仕上げるのも私の仕事です」。

開発課の縫製リーダーとして海外拠点のレベルアップに向けた情報発信や後進の指導にも当たっており、4月から課に20代のメンバーが増えることを受けて「今度は私が先輩の立場に。言葉では伝えづらいところも多いが、技術をしっかり次世代につないでいきたい」と意気込む。