日産約20トンの製造を支える高い設備力

うどんを中心にそうめんやひやむぎの製造も手掛け、機械麵業界でトップクラスのシェアを誇る同社。原材料は小麦・塩・水のみのシンプルなおいしさにこだわる一方、業界の人手不足を見越していち早く進めてきた設備投資と機械化が、今夏一通り完成した。

同社は原料配合後の熟成から圧延・乾燥・裁断・包装・商品管理・出荷まで一連の流れのほとんどを機械化しており、設備は既製品だけでなく自社の製造工程に合わせて独自に開発したもの、改造を施したものなど多岐にわたる。伝統的な「足踏み」の味わいを機械で再現する独自製法も確立。同業界でここまでの設備投資は全国的にも珍しい。人手不足が現実問題となる中、年間5200トン、日産20トンの製造を交替勤なしで実現、日産ベースでは機械化によって約5トンも生産性が向上した。

設備力を生かして、近年はより高級路線の新商品も誕生。天候、季節などによって異なる塩と水の配合を毎朝決めるのは、専務取締役の富田通也さんの仕事だ。微妙な加減を見た目と触感で判断している。「ここは変わらぬ味を守るために機械化できない領域ですが、製造工程自体は機械化で大幅に負荷が軽減し、力仕事も今は塩を投入する時くらい。安定した味と工程の効率化で、高いパフォーマンスを発揮できるようになりました。設備のスペックをさらに引き出せるよう、オペレーターのスキルアップが今の課題です」と語る。