
同店の通常の平天はスケソウダラとタチウオを使い、仕上がりが安定するようデンプンを加えるが、『讃岐特上天』はスケソウダラのみを使用し、デンプンを加えない。雑味が出やすい魚の皮近くの部位を避け、背骨に近い中心部分の身を使うことで、特長的なプリッとした食感となめらかな舌ざわりを生み出している。「天ぷらは、言わばタンパク質のかたまり。つくる工程でタンパク質が再結着する時の構造によって食感が変わります」と、専務取締役の熊野雄太さん。「1尾ずつ異なる魚の質、その日の気温や湿度、揚げ油の温度などに左右されやすく、揚げ具合の見極めも重要。厚くて大きい天ぷらを安定したおいしさに仕上げる技術は、私たちが長年育んできたノウハウの賜物です」。
『讃岐特上天』は店頭販売やネット通販のほか、東京の香川県アンテナショップでも取り扱っている。食べる前にトースターやフライパンで2分ほど温めると、出来たてに近い食感が楽しめるという。
同店はオリジナル商品の開発にも意欲的で、卵が丸ごと入った紅白の『かまぼこまんじゅう』やキャラクターをかたどったギフトなど、ユニークなアイデアが光る。商品開発の軸となる熊野さんは「特上天のようないいものをつくり続けるためにも、次世代の子どもたちに食べてもらう工夫が必要」と、日々試行錯誤。「練り物の消費が全国的に減少する中でも、香川はまだまだ消費量が多い県です。タンパク質が豊富で消化吸収がよく、900年以上の伝統があるかまぼこの価値を、多くの人に伝えたい」と語った。

有限会社 熊野蒲鉾店
- 住所
- 香川県高松市川島本町195
- 代表電話番号
- 087-848-0061
- 事業内容
- 蒲鉾、天ぷらの製造・販売
- 地図
- URL
- https://www.kumanokamaboko.com/
- 確認日
- 2025.06.19
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