挑戦し続けて伝統を守る、老舗蒲鉾店の「最高級品」

有限会社熊野蒲鉾店

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2025.06.19

香川で「天ぷら」と呼ばれる揚げた練り物の中でも、平たい長方形の「平天・長天」は昔ながらの讃岐の味だ。熊野蒲鉾店が創業初期から手掛ける『讃岐特上天』は同店の最高級ラインで、「これしか買わない」熱烈なファンも多いという。今年3月の第76回全国蒲鉾品評会では、全国から700点以上の商品が集まる中、揚げもの部門の最高賞に当たる農林水産大臣賞を受賞した。

同店の通常の平天はスケソウダラとタチウオを使い、仕上がりが安定するようデンプンを加えるが、『讃岐特上天』はスケソウダラのみを使用し、デンプンを加えない。雑味が出やすい魚の皮近くの部位を避け、背骨に近い中心部分の身を使うことで、特長的なプリッとした食感となめらかな舌ざわりを生み出している。「天ぷらは、言わばタンパク質のかたまり。つくる工程でタンパク質が再結着する時の構造によって食感が変わります」と、専務取締役の熊野雄太さん。「1尾ずつ異なる魚の質、その日の気温や湿度、揚げ油の温度などに左右されやすく、揚げ具合の見極めも重要。厚くて大きい天ぷらを安定したおいしさに仕上げる技術は、私たちが長年育んできたノウハウの賜物です」。

『讃岐特上天』は店頭販売やネット通販のほか、東京の香川県アンテナショップでも取り扱っている。食べる前にトースターやフライパンで2分ほど温めると、出来たてに近い食感が楽しめるという。

同店はオリジナル商品の開発にも意欲的で、卵が丸ごと入った紅白の『かまぼこまんじゅう』やキャラクターをかたどったギフトなど、ユニークなアイデアが光る。商品開発の軸となる熊野さんは「特上天のようないいものをつくり続けるためにも、次世代の子どもたちに食べてもらう工夫が必要」と、日々試行錯誤。「練り物の消費が全国的に減少する中でも、香川はまだまだ消費量が多い県です。タンパク質が豊富で消化吸収がよく、900年以上の伝統があるかまぼこの価値を、多くの人に伝えたい」と語った。

有限会社 熊野蒲鉾店

住所
香川県高松市川島本町195
代表電話番号
087-848-0061
事業内容
蒲鉾、天ぷらの製造・販売
地図
URL
https://www.kumanokamaboko.com/
確認日
2025.06.19

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